夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ハイフィンガー奏法で思い出した中村紘子さん

 

 

ハイフィンガー奏法と中村紘子さん

きのう、ハイフィンガー奏法についてちょっとふれたが、ハイフィンガー奏法の存在を世に周知させたのは中村紘子さんの功績だろう。

中村紘子さんがアメリカ留学中に、「あなたの弾き方(ハイフィンガー奏法)は100年古い」といわれ、ショックを受けながらも立ち直り、何年もかけて自分の弾き方を矯正した、という話はあまりにも有名だ。

 

才色兼備だった中村紘子さん

その中村紘子さんだが、私はレコードやCDはそれほど聴いていないのに、エッセイはほとんど読んでいる。「ピアニニストという蛮族がいる」とか「アルゼンチンまでもぐりたい」とかね。タイトルからして面白そうではないか!

まさに、ピアニストでありながら、知的なタレントだった、といってもいい。美人でセンスがよくて、定番の全体にパーマをかけたヘアスタイルも、ありゃ普通の人がやれば大仏でしょ?でもあの方だと実にキュートなのだ。

CMにもたくさんでていた。カレーのCMには自分の演奏をバックに、カレーをつくっているシーンが流れたが、ピアニストなんだから、手をケガするリスクのある料理なんかしないほうがいいのに、とも思った。

芥川賞受賞作家・庄司薫さんとの結婚も話題となった。

 

上品な話しぶりに衝撃

インタビューや、テレビ番組出演も多かった。私が感銘を受けたのは、ピアノよりむしろその「話し方」だった。エレガントで気品にあふれていたからである。

なにしろ、「ワタシ」ではなくて「ワタクシ」なのだから。

「ワタクシ、ジュリアードにおりましたときには、お指のかたちから直されましたのよ」

お指! 指にも「お」がつくのだった!

そういえば、オノ・ヨーコさんも「ワタシ」ではなく「アタクシ」といっていた。東京の上流婦人はみなこうなのか?

 

夫君である庄司薫氏について

ところで夫君である、庄司薫氏は1970年代後半からすでに作家活動をおこなっていないようだ。「赤頭巾ちゃん気をつけて」はあんなに話題になったのに。

村上春樹さんがおっしゃるように、長い間第一線の作家でいるのはとてもむずかしいということかもしれない。

ところで、気になるのは、妻である中村紘子さんが、国内外をとわず精力的に演奏活動で飛び回っていた時に夫君は何をしていたのだろうか? 猫と遊んでいたのだろうか? どうでもいい話だが、ちょっと気になっていた。

 

「ポスト中村紘子」を期待

残念なことに、中村紘子さんは2016年にお亡くなりになった。フジコ・ヘミングさんのほうが早く生まれて、いまだ活躍中であることを思えば、早すぎると思う。

最近では、ショパンコンクールに出場される日本人女性ピアニストも珍しくなくなったが、中村紘子さんのようにスター性のある方は見当たらないのでは? 私は世情に疎いので、ひょっとしていらっしゃったっけ? 才色兼備で華のあるかたが? いらっしゃったら、才能は出し惜しみせず、私たちを楽しませてほしい。