ピアノちゃんのギリギリ問題
ウチのピアノちゃん(ヤマハの1985年製UX-5)ときどきだが、まるでピアノのなかに金属のねじがまちがってはいってしまったような「ギリギリ」という音がするときがある。過去、何度もこれに悩まされた。
なにかに共鳴しているのか、と思って、ピアノの上にはモノをおかないようにしていたし、いろいろ周辺のモノの位置を替えたりしたが、それで効果があったとは思えなかった。
もちろん、調律師さんにも相談したが、不思議に調律師さんがきたときには、そんな音はしないのだ。
それに、首都圏に住んでいた時の調律師さんは、あまりまともにこの問題を考えてくれているようには見えなかった。「へー、そうなんですか」で終わってしまう。
そのうち、こちらも当時はそんなに弾いていなかったら忘れてしまう。そんなことの繰り返しだった。
今回の調律ではどうだったか
今の調律師さんとのおつきあいは、一昨年私たちがこちらに引っ越してきたときからはじまった。
大手引っ越し会社にピアノの搬送も頼んだら、搬送後の調律も自動的にこの方でセットでついてきたのだ。
幸いなことに、この方はギリギリ音について、真剣に考えてくださったようだ。例のごとく、この方がいるあいだはギリギリ音がしないので、いろんな方法でテストしていただいた。
それでもギリギリ音はでなかったし、原因もわからなかった。今回、梅雨並みの雨が続いたころ「ギリギリ」がはじまったので、1週間後にきていただくようにアポをとり、きのう見てもらった。
しかし今回もピアノちゃんはケロッとして、「ギリギリ」の「ギ」の音もでない。調律師さんはすまなそうに、
「すみませんねぇ。 こればっかりはねぇ。 そういう音がしているときにみてみないと、原因も対処法もわからないんですよ~」
彼のせいではないので、通常どおりの手順で調律してもらって、前回と同じ、¥12,000を支払った。
まったく、ウチのピアノちゃんは調律師さんの前ではいい子ぶる、外面のいいヤツだ。
ヤマハUXシリーズとは?
外面のいいヤツ、といったが、今のピアノちゃんが嫌いなわけではない。このピアノちゃんは、私の人生2台目のアコースティックピアノで、全額私の貯金でまかなったものだ。
1985年製の当時の新品で、そのときの調律師さんのイチオシだった。
「これはいいですよ、グランドピアノと同じものを使ってますから」ということだった。私はよくわからなかったんだけど。
某楽器店のサイトをみると、ヤマハUXシリーズについて以下の記述がある。
豊かな音量、輝きのある音色、その耐久性が魅力です。80年代から90年代までヤマハがワンランク上の仕様として生産、ベストセラーになりました。現在は製造されておらず、希少価値のあるピアノにもなっています。
なので、当時の調律師さんのいうことは誇張でもなかったのだろう。そういういきさつで、それまで弾いていた中古のカワイの代わりにわが家にくることになった。
うちのピアノちゃんの人生
考えてみれば、このピアノちゃんはこれまで不遇の人生だった。まず、買われたとたん、なぜかあるじ(私)はあまり弾かなくなった。あるじはピアノちゃんを両親に預けたまま、2年半フランスに行ってしまった。そして帰ってきたと思ったら、「首都圏で仕事をする」といいだし、ピアノがおけない賃貸アパートに住むようになった。なのでピアノちゃんは、引き続き神戸の実家で埃をかぶることに。
数年たってやっと首都圏に引き取られたが、あるじは仕事を口実にあまりピアノちゃんをかまわなかった。かまいだしたのは、あるじが仕事をやめ、阪神間に帰ってきてからである。
そんなこんなで、淋しい思いをさせたピアノちゃん、ごめんね、きっとこれからは最後まで連れ添うことになるだろう。
P.S. I love my piano