夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

夏のパリで「めぞん一刻」に出会った

 

習ったことをまったく覚えていない

あれは6月のフランス語プライベートレッスンのときか?

先生「7月に夏休みをとる人は、何でしたか?」

私 「??」

先生「では8月に夏休みをとる人は?」

私 「???」

先生「でもこれ、去年やりましたよね。覚えていないんですか?」

私は狼狽した。7月に夏休みをとる人、8月に夏休みをとる人?? 私の記憶にはまったくない。

ムッシュー先生は大きく目を見開き、呆れたように言った。「本当に覚えていないんですか??」

 

バカンスをいつとるか、は大問題なのか

一般的にいってフランスの夏休み、つまりバカンスは日本より多分ずっと長い。7,8,9月のうちいずれかの月で、有休をとって山とか海辺とか海外に出かけるらしいが、

7月に休みをとる人を juillettists(ジュイエティスト)

8月に休みをとる人を aoûtiens(アウシヤン)

9月に休みをとる人を septembristes(セプトンブリスト)

というのだそうだ。だが、私にはどうにも覚えられない。

その原因は私の記憶力の悪さにあるのだが、そういう用語を知らなくても「〇月に夏休みをとる人」と言えばいいではないか、と思うからだ。

しかし、フランスの記事を見ていたらこれらの用語は頻繁にでてくる。自分で発音できなくても、文字をみて理解できたら便利には違いない。

 

バカンスに出かけられない人をなんというか

先生に呆れられた私は、反撃(?)にでた。

私 「じゃあ、バカンスに出かけない人のことは何というのですか?」

先生「社会から疎外された人、落ちこぼれた人、かな?」(そういう用語はなさそうだが?)

私 「つまり、少数民族ってことでしょうか?」

先生は大きくうなずいて言った。

「パリの夏って誰もいないでしょ?みんなバカンスに出かけていて」

 

自慢にならないが、パリの夏をひとりで過ごした

30年以上も昔の話になるが、私はそのパリの夏7月~9月をたった一人、アパートで過ごしたことが2夏もあるのだ。

2回目の夏は秋の帰国と、10月にある大学の追試験を予定していたので、アパートで缶詰になって勉強していた。

でも最初の夏はよかった。大学の授業は秋まで始まらなかったし、リッチな韓国人の知り合いが、夏休みでソウルに帰っている間、16区の彼女のこじゃれたアパートを借りることができ、好きなように暮らすことができたからだ。

午前中はテレビで日本のアニメ番組を見、午後からはソルボンヌ大学でやっていた外国人向けの文明講座に参加した。大講堂で行われた講義の内容は非常にレベルが高く、私にはほぼ、ちんぷんかんぷんだったが、歴史あるソルボンヌの講堂にいるというだけで、文化的なことをしている気分になり、心地よかった。

授業後はよく歩いた。夏の宵は8時ぐらいまで明るかったし、当時気温はそれほど上がらなかったので、散歩に最適だったからだ。

私はとにかく歴史的な建物が好きなので、あちこちを見て回って感嘆のため息をついた。不思議なことにまったく淋しくなかったし、退屈もしなかった。

 

めぞん一刻」(Juliette, je t'aime)との出会い

この時、日本のアニメ「めぞん一刻」、フランス語では「Juliette, je t'aime」を初めてテレビで見た。

別に日本のものだから、という理由でみていたわけではないが、登場人物のキャラクターが面白かったのと、作者の高橋留美子さんの独創的なアイデアに笑いながらも感服していたからだ。

管理人の音無響子さんは、Juliette(ジュリエット)、彼女に人知れず恋焦がれる浪人の五代君は Hugo(ユーゴ), そして一刻館は pension de Mimoza(ミモザ館)と名前を変えてはいたが・・・

このアニメはフランスでも人気だったようで、再放送もされたようだ。テーマソングも大好きだった。

それを思い出した私は、サビの「Juliette, je t'aime, Juliette, je t'aime」を歌ってムッシュー先生に聞かせた。

ところが、先生は「知りませんねぇ」という。

「え?? ご存じない??」と今度は私が呆れる番だった。

 

めぞん一刻」(Juliette, je t'aime)のテーマ、ぜひ聞いてください!

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