夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

「スティング」でラグタイムのテンポを発見

 

 

1973年のアメリカ映画「スティング」

名画の誉高い1973年のアメリカ映画「スティング」をやっと最近観た。

ポール・ニューマンロバート・レッドフォードというステキな青い目の名優さんが出ているのに今まで見ていなかったのは、単に縁がなかったからで、いつかは観たいと思っていたのをやっと果たした。

もちろん、テーマソングである「ザ・エンタティナー」は何度も聞いたことがあった、自分でも弾いてみたことがある。メロディー自体は簡単で覚えやすいものだったし。

そしてその曲はジャズの前身である、「ラグタイム」というカテゴリーに属するという知識もあった。

 

映画では「ザ・エンタティナー」はゆっくりだった

映画が始まってすぐテーマソングが流れたが、そのおとぼけみたいなゆったりとしたテンポに今さらながら青ざめた。

なぜなら私はかつて、チャカチャカチャカ、おもちゃの行進を思わせるような焦ったテンポで弾いていたからである。この曲は左手が大きくスライドして、ブンチャ、ブンチャ、というリズムを刻むため、決して得意な分野ではなかったのに。ゆっくりでよかったのだったら、もっと弾きやすかったかもしれないなぁ。

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ラグタイムの流行はいつか

テーマソングである「ザ・エンタティナー」は映画のために作られたのではなく、映画の製作人が、当時すでに忘れられていたスコット・ジョップリンの名曲を使ったことで、ラグタイムのブームがアメリカで再燃したらしい。

映画は1930年代のシカゴを舞台にしているため、ラグタイムは当時の音楽と思われがちだが、ラグタイムが流行したのは、もっと前の20世紀初頭ということだ。

 

ラグタイム王」スコット・ジョップリン(1867-1917)

現代人は速いのがお好き?

ジョップリンは自分の楽譜の注意書きに、「この曲を早く弾いてはいけない。ラグタイムを早く弾くことは決して正しくない」と書いていたそうだ。

しかし現在、YouTubeでいろいろなピアニストさんが、ラグタイム、とりわけ、「ザ・エンタティナー」を弾いていらっしゃるのを聞くと、みなさん総じて早い。

映画で使われたテンポが私の、のんびり散歩に似ているとすれば、主流は世界陸上1500メートル決勝ぐらいの速さなのだ。そして、速く弾いているのをみると、やっぱりかっこいい。あんなに速く弾けるなんて、うらやましい、とつくづく思う。

 

スコット・ジョップリンの作品集

楽譜の世界もいつのまにか、グローバル化されてきたのか、「ラグタイム王」スコット・ジョップリンの作品集も全音から出版されている。

そうか、ラグタイムはジャズの前だから、みんな楽譜を見て弾いていたんだね。私も左手の音をはずさないよう、高速で弾けるようになるために、トライしてみようなかぁ。