パスピエに費やした20時間
今週、クラシックピアノレッスンで見てもらうのはバッハのシンフォニア2番とドビュッシーのパスピエ。
シンフォニア2番は自分でも、意外に進んだ感じだ。きっと私の好きな短調で、とても美しいメロディーだからだろう。しかし、もう一つのパスピエはねぇ。とても好きなんだけどねぇ。
練習を開始してから約40日。パスピエの練習に費やす時間は一日 0.5時間だから・・・
0.5時間 × 40 = 20時間! さすがの私も焦ってきた。20時間やってもミスタッチ&音抜け満載とは(泣)原因の多くは、左手高速スタッカートの難しさにあると思う。
パスピエの人気はそれほど高くない?
別に統計をとったわけではないが、YouTubeに投稿されている動画のなかでパスピエはそれほど多くなく(あまり人気ないのかな?)、ピアニストの手さばきが写っているのも、プロのピアニストさんでは日本人男性のお一人のみかと思う。
もちろんそのかたの動画は非常に参考にさせていただいており、感謝の念に堪えない。
サンソン・フランソワがジャズクラブで弾いていた!
ところが、きょう思いがけず面白い動画を見つけた。なんと、伝説のピアニスト、サンソン・フランソワ(1924―1970)が1967年、パリのジャズクラブでドビュッシーのパスピエを弾いていたのだ!傍らではジャズピアニストのアート・シモンズが、その手元を食い入るように見つめている。
そしてお客さんは、ジャズクラブだから当然なのだが、飲んだり談笑したりで、ピアノを真剣に聞いている様子ではない。かといって、彼がそれに不満を抱いているようにはまったく見えないのだが。
けれど、私としては、「ちょっとみんな聴いて! あのサンソン・フランソワ様が、ピアノを弾いてるのよ!!」と叫びたい気分である。
弾き終わってから、アート・シモンズにピアノの席を譲り、紫煙をくゆらすサンソン・フランソワ氏はとてもリラックスしているようだ。
アート・シモンズが説明するジャズの経過音についても、「ドビュッシーの作品のなかでも、似ているのはあるよ」とゴキゲンそうである。
真似できるのだったら真似したい脱力
サンソン・フランソワがどんなピアニストだったか、というと、きわめて自由な解釈で弾くタイプだったらしく、右手メロディーを特別際だたせたりテンポを揺らしたり、私のような学習者が真似をしようとすると、大やけどをしそうだ。
だから、私はただ感嘆して聴き、手さばきをガン見するのみである。そして、今回動画でみて明らかになったのは、左手が高速で動きながらも、余分な力はまったくはいってなさそうなのだ。これこそ真の「脱力」ではないか!これが真似できるのだったら、真似したいよ。