夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

バッハがルイ14世と同世代だったとはね

 

「チェロとピアノ、バレエの饗宴」コンサート

兵庫県芦屋市ではだいたい1~2か月に1回の割合だろうか?公民館で入場料¥500というコンサートが行われる。

申し込み方法は、郵便ハガキかファックスというどちらかと言えば古典的なもので、ファックスを持っていない私は、このためだけにハガキを買いに行くはめになり、「ネット申し込みにしてほしいなぁ」と思うのだが、なにしろ500円なので文句はいえない。

今回は申込者が多く抽選となったらしいが、私にしては珍しく「当たり」で9月24日(土)に「チェロとピアノ、バレエの饗宴」を鑑賞することができた。

バレエはチケット代がとても高いから、そうそうは見に行けない。2018年にキエフ・バレエ団の「胡桃割り人形」を見たときも、その素晴らしさに目が釘付けになったが、やはり舞台と私の席までは遠かった。(そういえば、今回の戦争でバレエ団はどんな被害を被ったのだろう、とずっと気になっている。名前もいつのまにか、ウクライナ国立バレエに変わっているようだけど)

そういうわけで、今回至近距離でダンサーさんたちが踊るのを、みることができたのは、めったにない機会だった。曲目はチャイコフスキーラフマニノフ、サティ、サン=サーンスなどチェロの奥深い音色とピアノの響きが絡み合い、それにバレエが加わるのだから、まさに「目によし、耳によし」だった。

バッハの時代でバレエの基礎ができた

舞踊評論家でもある司会者のかたが、バッハの無伴奏チェロ組曲を、紹介されたとき、

「バッハが作曲した同じ時代に、フランスではルイ14世の治下でバレエの基礎ができあがった」と説明されたのだが、瞬時にはピンとこなかった。

あれ? ルイ14世って、バッハと同時代だっけ? ルイ14世のほうが、ずっと前の世代だと思っていたけれど・・・これは私の完全な誤解だった。以下のサイトからの抜粋だが、関係性はこうなる。

バッハの時代(その2)

フランスでの絶対王朝と言えばルイ14世太陽王)、15世とヴェルサイユ文化が思い浮かぶが、ルイ14世の治世が1643年から1715年でバッハの年齢で言えば生まれてから30歳まで、ルイ15世の治世が1715年から1774年、バッハの年齢では30歳から死ぬまでということになる。

映画「王は踊る」

私の好きな映画に、ルイ14世を題材にした「王は踊る」というのがあるが、この映画ではルイ14世から寵愛を受けた宮廷音楽家、リュリの音楽が使われている。

私には、リュリの音楽のほうがバッハよりずっと、洗練されていないというか、粗野、前近代的に感じるので、バッハはもっとあとの世代かと勘違いしていたのだ。

ルイ14世がリュリの音楽とともに、踊る場面の動画があったので、よろしければどうぞ。

www.youtube.com

アンナ・パヴロワの来日公演から100年

もうひとつ、このコンサートが教えてくれたこと。伝説のプリマバレリーナアンナ・パヴロワの来日公演から今年でちょうど100年になるそうだ。

アンナ・パヴロワのバレエ団一行は1922年、船で来日。東京をはじめ、日本全国11都市で公演したそうだが、この時代はまだバレエを初めてみたひとが多く、芥川龍之介や映画評論家の淀川長治氏も観客のひとりだった、ということを公民会の展示で知った。

100年前。若いころならずいぶんと昔に感じたかもしれないが、その半分以上をすでに生きた今となっては、そんなに昔とは思えない。なのに、アンナ・パヴロワが神戸公演を行った、新開地の聚楽館はすでにないし、第一、新開地も今ではそんな有名タレントを呼び込める場所ではない。

おまけに広告主の「大丸百貨店」は100年前は、まだ「大丸呉服店」と名乗っていた。世の移り変わりとはこんなに早いものだ、と実感する。