夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

トリルを入れるべきか、入れぬべきか?それが問題だ

 

 

バッハの装飾音で悩む

インベンションでもシンフォニアでも、楽譜上に記載してある装飾音(トリル、トレモロ、モルデント、ターンとか)をどれくらいまで入れるか、またどのように弾いたらよいのか、は私にとっていつも頭を悩ませる問題である。

ところが、今の先生もそうだが、2020年の7か月間、浦和で習った時の先生も装飾音について、詳しく説明されることがなかった。

もちろん、「ここはどう弾けばよいですが?」と、質問すれば、「では、こうしましょう」とおっしゃってはくださるが、それもそんなに重視されているようには思えない。なんとなく、私としては消化不良な気分なのだ。

例えば、シンフォニア1番では、もっている全音の楽譜では、装飾音のたぐいが13か所もあるが、私がふだん弾いている装飾音は7つしかない。その7つをどうやって決めたかというと、YouTubeに投稿されている日本人プロピアニストさんの演奏に倣ったものだ。

グールドやシフの演奏ではない。ああいう雲の上の人の演奏を聴くだけならよいのだが、真似しようとすると、とんでもないことになる、というのをこれまでの経験で得たからだ。もちろん、日本人プロピアニストさんたちの演奏もすばらしいのだけれど、

おわかりでしょ、いわんとすることを。

トリルはフィギュアスケートのジャンプ?

シンフォニア1番で弾いている7つの装飾音のうち、右手親指の保持音がじゃまをして、なんか弾きにくいなぁ、というのがある。以下の画像のところなのだが・・・

 

 

右手の可動域から考えると、運指は454が一番妥当と思える。ところが4の指の力が弱いため、454はあまりうまくできない。そこで、1の親指をしっかり押さえながら343で、ミファミを弾くことになるのだが、手がそれほど大きくないのと、柔軟性がないので、この3音がきれいに出せず、ぐちゃっとなるときがある。

練習のときはまだいいのだが、先生の前で弾くとだいたいは失敗する。そこでリスクを避けるため、もともとこのトリルは無視したほうがよいのか先生にお伺いしてみた。

すると、「練習ではトリルを入れるようにして、本番の直前で決めたらどう?」とのこと。

えっ! それってフィギュアスケートのジャンプの4回転とか、4回転半をやるかやらないかっていうのと似てない?

もちろん、シンフォニア1番のトリルとフィギュアスケートのジャンプじゃ、比べる次元が違うのだが・・・

あらためてフィギュアスケートの選手ってすごいなぁと思った。多分フィギュアスケートに限らないと思うのだが、スポーツで大技をやるかやらないかの緊張感、プレッシャーに打ち勝つ選手のみなさんのメンタルの強さは賞賛に値すると思う。(これだから、体育会系のひとは就職に有利なのか?)

トリルが多いから点数があがることはない

それではトリルは入れたら入れただけ、点数があがるのか?

「それは絶対にありません。トリルは入れたほうが確かにみやびやかに聞こえますが、

コンクールの場合、トリルが多いからといって点数があがることはありません。」と先生は断言する。

要するに、きれいなトリルが適度にはいっていたらOK、ぐしゃっとなったトリルならないほうがまし、ということだろう。

それではこれはどうだろう? 先ほどのシンフォニア1番の例で言えば、親指で押さえるソの保持音を楽譜上では付点四分音符のところ、四分音符のように解釈して親指を離し、全力を343の指に集中させ、トリルを成功させるのだ。

「それは絶対にダメです! 保持音はあくまで楽譜に忠実に、伸ばさなければなりません。」と却下。しゃーないねー。

本番まで練習、練習。そして本番の土壇場で決断するしか道はなさそうだ。