ある日の先生のお言葉
先日、クラシックピアノのレッスンで、シンフォニア2番を弾いていると、先生がやおら立ち上がって、譜面台の上の私の楽譜をのぞき込み、
「この楽譜じゃこうなってるのね~ ふつうはAs(♭ラ)で弾くことが多いのだけどね。 ま、これで何か言われることはないでしょうから、いいでしょう。」とおっしゃった。
私はとっさにどう反応してよいのか、わからなかったので、いったん中断後、再開し、そのまま最後まで弾き続けたが、どうやら先生がお持ちになっている楽譜と私が持っている楽譜では15小節目のラの音に相違点があるらしい、ということはわかった。
しかし、「何か言われることはないでしょう。」とは聞き捨てならぬ。でしょう、であって、です、ではないのだから。
ひょっとして重箱の隅つつきのバッハコンクールでは、ミスタッチと判断されるのだろか?
音符違いをリサーチする
私はなにごとにつけ大ざっぱで、細かいことが気になることはほとんどないのだが、このときは、この疑問点をそのままにしておいてはいけない、と正義心がむらむら沸いてきた。
そこで大型店舗であるヤマハの楽譜売り場でシンフォニアの楽譜を片っ端から調べてみることにした。
スマホ撮影って禁止だろうね、たぶん
ところで、書店でも楽譜売り場でも、書籍や楽譜のスマホ撮影って禁止ではないだろうか?
別に問合せをしてみたわけではないのだが、なんとなくそんな気がする。特に楽譜なんぞ、見開き2ページをカシャッと撮れるような短い曲もいっぱいあるものね。
一瞬、店員さんに聞いて許可を得ようか、と思ったが、「ご遠慮ください」と言われて、その後、ずっと私が怪しげな行動をとらないかどうか、見張られる気がしてやめた。
もうあとは、楽譜を見る→音を確認する→出版社名をアタマに叩き込むしかない。出版社名が全部覚えられるかどうか、もうアタマからこぼれそうでくらくらしてきた(涙)
リサーチ結果ではAs(♭ラ)の圧勝
問題の箇所がAs(♭ラ)の出版社
問題の箇所がA (ラ)の出版社
数でいえば、As : A が 5:2で As の圧勝!といってもいいのではないだろうか?
あと、YouTubeの演奏の音を聞いて、判断するという手もあるかもしれないが、そこまで自分の聴力に自信がない。
ネットで調べてみると、バッハの楽譜にはよくこういうのがあり、コンクールの採点には影響しない、ということがわかった。私が専門的にクラシックを勉強したことがあるのなら、こういう些細なことでオタオタもしないだろうが、なにせ、クラシックはジャズやポップスと違って楽譜通りに弾くもの、という概念が根底にある。だから頼みの綱の楽譜でも、いろいろありますよ、と言われたら、「じゃあ、どうしたらいいの?」という気になる。
Asでいくべきか、Aのままでいいのか?
実際に弾いてみると、Asのほうがどちらかというと自然な気がする。でもバッハのインヴェンションでもシンフォニアでも、あれっと思うような音使いにこれまで何度か遭遇してきた気がする。だからここがAでもなんら不自然さは感じないのだ。
それに私の指はもうここでA、というので覚えてしまったし・・・このまま、Aでいこうか、Asに変えようか? きっと私のことなら、Asを弾こうとしてAを触ってしまう気がする。
ねー、バッハ先生、ホンマはどっちなん?