今のクラシックピアノの先生の個人的なことは何も知らない
今のクラシックピアノの先生には、引っ越し以来お世話になっているからもうすぐ2年になる。
とてもお優しく、上品で、演奏活動にも指導にも熱心に取り組まれているすばらしい先生である。
が、私は今もって先生がどこにお住まいなのか知らない。
レッスンの場をこれまで、「先生宅」とこの記事でも書いてきたが、防音が完備したワンルームにグランド2台がようやくはいるスペースなので、とてもあそこで寝泊まりされているとは思えない。
もちろん、年齢も知らない。
独身でいらっしゃることはつい最近、偶然に知った。
このように知らないことばかりだが、音楽や読書という共通の話題について、先生と私は気が合うと思っている(私だけかもしれないけど)。
そして知らないことの多い、いわば一定の距離感のある師弟関係を、私はとても快適だと思っている。
独学をやめ、体験レッスンを関東で受けることにした
私が34年間もピアノを独学、というか独楽してきたことは前に記事にした。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
34年も自分の好きなようにだけ弾いてきたのち、教えを乞う先生をどうやって見つければいいか。
とりあえず、その頃住んでいた関東の街の近辺で、教室を開いていらっしゃる先生のホームページをチェックし、ある先生のところで体験レッスンを受けることにした。
選んだ理由は、その先生がベヒシュタインという、私が弾いたことのないドイツ製のグランドピアノでレッスンをされていたので、一度そのピアノを弾いてみたかったからだ。
饒舌な先生の体験レッスンでショパンのノクターン20番を弾いた
体験レッスンに伺ってまず、私が圧倒されたのは、先生が非常に饒舌だったことだ。
先生はコロナに対する怒りをまくしたて、人の往来が途絶えた繁華街のようすをみて、ショパンの「革命」を想った、とおっしゃられて、「革命」を弾いてくださった。
私はもちろんパチパチと拍手。
そのあと、何だかの精神論を演説されたけれど、私はどこで相槌を打っていいのか迷い続け、ほとんど頭にはいらなかった。
一応体験でもレッスンなので、私は用意してきたショパンのノクターン20番「遺作」を弾いたが、ポーランド風リズムのところを(動画の48:06あたりから)カツァリス風に速く弾いて、きっぱりとダメ出しをくらった。
それはまぁ、しょうがない。
先生の饒舌さとざっくばらんさに違和感
体験レッスン代1,500円を払ったあと、先生は私に「あなたのことを教えてください」と書かれた紙を手渡し、次回のレッスン時にもってくるように、と微笑まれた(私はまだ、これからお世話になります、とは言っていない)。
その「あなたのことを教えてください」には、私の住所、電話番号はもちろん、家族構成、ピアノ歴、ピアノ以外の趣味などなど、多岐にわたって記入するようになっていた。
私は客観的に自分のことをみて、愛想は良いほうだが、とても社交的でオープンというわけではない、と思っている。
なぜなら、信頼できる人間関係を築くには、ある程度の時間が必要だと思っているからだ。
なので、先生の饒舌さとざっくばらんさに違和感を感じ、断りにくいが、今後のレッスンを断るメールを書くことを決心した。
先生から「いつまでもお待ちしています」と言われた
断りメールに何を書いたかは、はっきり覚えていない。
たしか差しさわりのない断り理由を、でも丁寧に書いた、と思うのだが、そのメールに対する先生からの返信にすっかり心を打たれてしまった。
「ゆめこさんがレッスンにお越しになれないのを、とても残念に思います。でもわたくしはいつまでもお待ちしています。」
これではまるで、あみんの「私待つわ、いつまでも待つわ♪」ではないか。
私は、何か悪いことをしたかのように感じ、数日間落ち込んだ。
でもね、そのあとに体験を受けて引っ越しまで約半年、お世話になった先生の体験レッスンは無料だった。
そして、今習っている先生の体験レッスンも無料だった。
あの先生には、たしかに¥1,500払ったし、丁寧に接したから悪く思う必要はないんじゃないか、と思うことにしたよ、結局。