役柄によって別人になれる俳優とそうでない俳優
一般的にいって、「あの俳優は演技がうまい」「大根役者だ」というのはどういうところを見てそう言っているのだろうか?
私もよくそういうことを言うが、私の場合、役者さんが演じる役柄によって、別人と感じられる演技ができる人を「うまい」といっているような気がする。
例えば、ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、堺雅人、そして今回の記事の中心、デヴィッド・スーシェである。
(これではこの二人が下手だといっているようなものではないか?
いや、そういうつもりはないのだが)。
尚、付け加えておくと、私は最近の俳優さんを知らないし、テレビもいつ頃からか忘れたがほとんど見ないので、単なるけったいなおばはんの感想と思っていただければありがたい。
「名探偵ポワロ」が当たり役のデヴィッド・スーシェ
デヴィッド・スーシェという名前は知らなくても、あの「名探偵ポワロ」役をやった人、といえばすぐわかるかたも多いと思う。
小説のポワロ(ベルギー人)と同じく、英語の端々に、「ウィ」「メルシ」などのフランス語を連発するので、最初はフランス語圏の出身かと思っていた。
ところがどっこい生粋のロンドンっ子らしい。
「ダイヤルM」でのデヴィッド・スーシェ
「名探偵ポワロ」は1989年から2013年まで続いたそうだが、そのあいだの1998年にデヴィッド・スーシェは、「ダイヤルM」(A perfect murder)でアラブ系の警部をやっている。
この映画で彼が登場したとき、すぐには彼とわからなかった。
頬のこけた容貌はもちろん、声音が低く、ポワロの声とは違うのだ。
↓ 「ダイヤルM」のカラマン警部
↓ 4:07 すぎからポワロさん、じゃなかったカラマン警部の声あり。
低くてなんともいえない渋い、いい声だ。
「バンク・ジョブ」でのデヴィッド・スーシェ
2008年の映画、「バンク・ジョブ」(The bank job)で悪徳ポルノ業者に扮したスーシェ。
容貌はポワロに近いのだが、キャラクターの違いで、作品後半になるまで彼とはわからなかった。
私のほうが鈍いのか?
ポワロの声のレシピ
次にスーシェがどうやってポワロの声をつくるか、について説明した動画をご紹介。
まず、ベルギーのラジオで英語を聞き、英語のラジオでフランス語を聞いたりする。
そして、地声がおなかのあたりにあるとすると、フランス語のアクセント、フラマン語の喉からくる音を混ぜていくうちに、声がおなかから胸、のど、そして頭のほうへあがっていき、ポワロの声ができあがる、というわけらしい。
デヴィッド・スーシェはあの人に似ていないか?
余談となるが、私にはどうしてもデヴィッド・スーシェは、この人に似ている気がしてならない。かつての日産の社長、カルロス・ゴーン氏である。
民族のルーツが近いのでは、と思うのだがなぁ。
こういう話になれば、夫からいつも、
「欧米人から見て、日本人、韓国人、中国人はみんな一緒のアジア人」と言われてしまうのだけれど。
(それには同感しています)