1958年のフランス映画「モンパルナスの灯」
「モンパルナスの灯」とは、近頃では100億円を下らない価値で作品が取引されている画家、モディリアーニとその妻、ジャンヌとの愛を描いた1958年のフランス映画である。
モディリアーニは、当代随一の美男と謳われたジェラール・フィリップ、そしてジャンヌは、あえて今風の表現を使うと「美しすぎる」アヌーク・エーメが演じた。(美しすぎる、とはアヌーク・エーメ級の美女にだけ許される形容詞だと思う)
私がこの映画をみたのはいくら何でも1958年ではなく、実は数年前だったのだが、大いに感激したものだ。
モディリアーニは才能があるのに売れなくて、売れないのでやけになって酒に溺れ、妻のジャンヌは由緒ただしき良家の子女なのに、モディリアーニとの恋を反対され、家を出て彼の画業を支えるのだ。
BGMはアズナブールの「ラ・ボエーム」でもよかったと思う。
「ラ・ボエーム、ラ・ボエーム 僕らは2日に1度しか食うカネがなかった」ってね。
山田五郎氏「オトナの教養講座」
ところが、モディリアーニとジャンヌの純愛物語をぶっ壊すような、新事実が山田五郎氏による「オトナの教養講座:モディリアーニの肖像画価格高騰の謎に迫る」で、明らかになったのだ!
尚、この動画は36分ぐらいはあるが、「モディリアーニとジャンヌ」については26:27 あたりからはじまる。
明らかになったオドロキの真実
私がこの動画を見て、「えーーー知らんかった!!」と思ったのは以下の点である。
ーモテモテだったモディリアーニには少なくとも2人以上の婚外子がいた。
(ジャンヌと知り合ってからはジャンヌ一筋だと思っていたけど)
ー画学生でもあったジャンヌが描いた絵、「死」「自殺」をみると、とても彼女が幸せだったとは思えない。夫の酒、DV、病、薬に苦しんでいたのではないか。
ーふたりは共依存関係にあったのではないか。
世の中には日常的に女を殴り、殴ったあとは優しくなることを繰り返す、そんなダメンズになぜか魅かれてしまう女性もいるようなのだ。
モディリアーニは1920年、35歳で結核性髄膜炎のため、死去。
妻、ジャンヌはその2日後、お腹に2人目の子どもを宿したまま、飛び降り自殺を遂げるのである。 合掌。
藤田嗣二画伯の演技指導
このように純愛物語にケチがつけられたような気がしたのだが、それでも映画「モンパルナスの灯」(原題:Les amants de Monparnasse) はよくできたいい映画だと思う。
そしてこれも山田五郎さんが教えてくれたこと。
なんとあの藤田嗣二画伯が、この映画の演技指導にあたられていた、というのだ。
実際に画伯はエコール・ド・パリの一員としてモディリアーニと交流があったらしい。
やっぱり20世紀はじめのパリに憧れるなあ。
あの頃は本当に芸術の都だったのだろうね。
ジョニー・ディップがモディリアーニになるのか?
2022年8月、ジョニー・ディップがアル・パチーノとの共同プロデュースでモディリアーニの伝記映画を撮る、との発表があった。
クランクインは2023年春とのことだが、果たしてジョニー・ディップは監督だけなのか、それともモディリアーニを演じるのか?
お楽しみ、お楽しみ~~