夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

映画「ボルサリーノ」にみるドロンとベルモンドの不思議な関係

1970年のフランス映画「ボルサリーノ」

「ボルサリーノ」競演のふたり

1970年のフランス映画で当時の2大スターが競演した「ボルサリーノ」という映画がある。

二人のうちのひとりはジャン・ポール・ベルモンド。残念なことに2021年9月になくなってしまった。

もうひとりはアラン・ドロン。まだご存命で、このブログでも記事にしたことがある。

kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com

二人ともかつては、フランス映画界を牽引した大スターだったため、その関係は「永遠のライバル」と呼ばれ、複雑なものもあったようだが、やはり二人は「戦友」だったのだろうか。

ベルモンドの死はドロンにとって相当な打撃だったようだ。

実際のギャングをモデルにした映画「ボルサリーノ」

ところで、映画「ボルサリーノ」は、1930-1940年代、フランス、マルセイユの闇の世界を牛耳った、実在の2人のギャングをモデルにしている。

一人はコルシカ生まれのポール・カルボーネ(Paul Carbone 1894-1943)。

カルボーネに最後まで忠実だったのが、イタリア生まれのフランソワ・スピリト(François Spirito 1900-1967)。実際は血を血で洗うようなマフィアの抗争だったかもしれないが、映画のほうはそれほどシリアスな雰囲気はない。残酷な場面もほとんどない。

ホンキートンクといわれる幾分調子がはずれたピアノが奏でるリズムが似合う、どことなくコミカルで、それでいて1930年代のファッションやインテリアが楽しめる映画に仕上がっている。

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「ボルサリーノ」おすすめ場面

「ボルサリーノ」の見どころ場面はずばり2つ!

その1

まず、ローラという女をめぐって刑務所から出所したシフレディ(ドロン)とカペラ(ベルモンド)が殴り合う場面。これをきっかけにふたりは義兄弟みたいな間柄になるのだ。

これって男の友情なのか、それともひょっとして愛??

 

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その2

次は二人の関係の終焉を予感したカペラ(ベルモンド)が、シフレディ(ドロン)に暇乞いをした直後、何者かの凶弾に倒れる場面。

最後のことばが、「La chance, ça n'existe pas... 」(ツキなんか、存在しないんだ)

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映画と呼応するようにベルモンドのほうがドロンより先にあの世へ行ってしまった。

88歳という年齢からすると、仕方がないのかもしれないけれど、かつてアクションスターとしての勇姿を覚えているファンにとっては手足が不自由になった晩年の姿を見るのは、ちょっと辛かった。

必見!作曲者が弾く「ボルサリーノ」のテーマ

最後にこの映画の音楽を担当したクロード・ボリングが実際にピアノを弾いたボルサリーノのテーマをご紹介。

クラシック専門のピアニストがこういうのを弾くと、ふわっ、ふわっとした感じになりがちだが、もともとジャズピアニストのボリングが弾くと、アクセントという香辛料がピリリと効いた感じ。

いったいいつになったら私はこのように弾けるのか。

まだまだ左手を外さないことだけが目標、という情けないレベルなのだ。

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