映画「恋におちて」のざくっとすぎるあらすじ
1984年のアメリカ映画「恋におちて」(原題:Falling in love)はクリスマスで始まり、クリスマスに終わる恋愛映画である。また付け加えるなら、不倫純愛映画といったところか。あらすじをざくっとご紹介すると、
クリスマスイヴでごったがえすニューヨーク、リゾーリ書店でお互いの買い物をとりちがえてしまったことから知り合ったモリー(メリル・ストリープ)とフランク(ロバート・デ・ニーロ)はともに既婚者だが、惹かれあうものを感じ、電車の時間をあわせたり、お茶やランチで距離を縮めていく。が、どうしても一線を越えられない二人はフランクの転勤を機にお互いを忘れることになったかに見えた。連絡が途絶えたあとのクリスマスイヴの夜、ふたりが出会ったリゾーリ書店で奇跡の再会を果たすのだが・・・
奇跡の再会をはたしてから感動のラストシーン
ふたりが奇跡の再会をはたすリゾーリ書店での場面はこの映画のなかで一番好きな場面である。YouTubeで探したら、この場面があったので下に貼ったが、なぜか何回でも観てしまう。
書店でぎごちない会話を交わしたあと(ふたりともお互いの夫婦関係が破綻していることを言い出せない)、「バーイ」といってフランクが歩き出したその背中に、モリーが「メリークリスマス」と声をかけ、フランクも一瞬驚いたが「メリークリスマス」という。
あーー!このままふたりは別れてしまうのか!!見ているほうはもうハラハラしっぱなしである。けれどもそこはアメリカ映画! ほとんどの高い確率で観客を安心させてくれる結末が待っている。
名優の存在と携帯電話がない時代
久しぶりにこの映画をYouTubeで¥400を払ってみたが、改めてこの映画の良さはメリル・ストリープとロバート・デ・ニーロの名優の演技があればこそ、そして携帯電話がなかった時代で、「すれ違い」が頻繁に起こる可能性があったからこそ、生まれた映画だと感じた。
だって、もし携帯があればモリーはクルマの故障で踏切で立ち往生したときも、すぐにフランクに連絡できただろう。そして彼女がこないことで家に電話をしたフランクはモリーの夫から嘘をつかれることもなかっただろう。
これらのせいで1990年代以降は、恋愛小説も恋愛映画も「すれ違い」という古典的な恋愛のスパイスが使えなくなったのではないか、と私は思っている。
デイブ・グルーシンのピアノが印象的なマウンテンダンス
私がもう一つこの映画が気に入っている理由は、テーマ曲としてデイブ・グルーシンのマウンテンダンスが使われていることだ。
この曲が発表されたのは1979年とのことだから、ちょうどクロスオーバーやフュージョンが大流行りした頃ではなかったか?リズムセクションが複雑なので、エレクトーンで華麗に弾く人も多かった記憶がある。私には無理、無理、と試してみたこともない。
あーこの世の中、好きでも弾けない曲がなんと多いことか!