夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

「シェルブールの雨傘」でおさらいするフランスの伝統菓子ガレット・デ・ロワ

映画「シェルブールの雨傘」より

日本でのガレット・デ・ロワの普及度

新年1月、ガレット・デ・ロワというお菓子を切り分けて、なかにはいっているフェーブを当てたひとが王様、または女王様となり王冠をかぶる、というフランスの伝統は日本ではそれほど知られていないように思う。

私はこの家庭的で、どこかほのぼのとした風習が好きなので、日本でもハローウィーンなんかよりずっと広まってほしいと願うのだが、ガレット・デ・ロワは相変わらず、ちょっとこじゃれたケーキ屋さんでないと扱っていないようだ。なぜだろう?バレンタインデーのチョコレートが大ヒットしたように、ケーキ屋さんにもちょっと工夫すれば、爆発的な商機があると思うのだが、

それに本来はケーキのなかにはいるべきフェーヴ(陶器、またはプラスチック製の人形)が日本ではケーキと別添えになっていることが多いのも驚きだ。これではこっそりケーキに穴をあけてフェーヴを押し込めというのか?それとも日本では、食品衛生法とかで、食べられないものを食品のなかに入れるのは禁止なのか?今のところ理由はわからない。

ガレット・デ・ロワ

手作りのガレット・デ・ロワもいいけれど

現在住所に引っ越しの前、お気に入りのケーキ屋でガレット・デ・ロワを買うたびに紙の王冠とフェーヴを大事にとっておいたのが、引っ越してからは見当たらない。やはり断捨離してしまったのだろうか?なるほど、ケーキ屋で買うたびにこれらのグッズは増えてしまい、他に使い道もないから、いらないといえばいらないのだが。

ウチでは引っ越し以来、凝った料理やケーキ作りをするのが、夫の習わしになった。だから昨年のガレット・デ・ロワも彼の手作りなのだ!そして出来立ては確かにおいしいが、店で買うように王冠やフェーヴがないので、私としてはいささか物足りない。まぁ二人しかいないので、どちらかが必ず王や女王になり、これもあまり面白いとは言えないのだが・・・

映画「シェルブールの雨傘」でのガレット・デ・ロワ

ガレット・デ・ロワを食べるシーンは1964年のフランス映画「シェルブールの雨傘」にもでてくる。

フェーヴを当てたジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)が宝石商カサールを「王」に選び、カサールに請われた彼女は王冠をかぶる。王冠をかぶった彼女の美しさに彼はメロメロになり、「あなたはアントワープで見た聖母像のようだ!」と賞賛する場面である。

www.youtube.com

尚、映画「シェルブールの雨傘」は以前の記事でもご紹介しているので、よろしければこちらもご参照いただければと思う。

kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com

覚えておけばよかったフランス語表現

私がこの映画を最初にみたときは渡仏前だったから、この映画のシーンがよく理解できていなかったのではないか。もしよく理解できていたら、

公現祭の豆は私のところじゃないようだわ」(Ce n'est pas moi qui aurai la fève.)

「私が当たったわ」(C'est moi qui l'a.)

「選ぶまでもないわ。あなたが王様です」(Je n'ai pas le choix. Vous êtes mon roi.)

などという表現がすらすら口からでてきたと思うのだ。

はじめてガレット・デ・ロワを食べたのは、数十年前、留学先のフランスについてまもなく、同じ寮に住んでいたフランス人の女の子の家庭に呼ばれたときのことだ。小さい妹もいた彼女の家族の前で、私は気の利いたせりふも言えず、ただガレットを口に頬張っていただけかと思うと、恥ずかしくはあるが、やはり懐かしい・・・