夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ちょっといい話:フランス、ボルドーで手術前に歌う外科医

フランス:ボルドーの歌う外科医

数少ない心温まるニュース

前にも書いていると思うのだが、私は永遠のピアノ学習者とフランス語学習者でもあるので、ピアノの練習とともに、フランス語の聞き取りのため、意図的にフランス語のニュースをネットで見ることにしている。

ところでニュースというものは、基本的に良くないことばかりを知らせるためにあるのではないか? 戦争、強盗、殺人、疫病、テロ、その他いろいろだが、日仏のニュースを比較すると日本のほうが国内で起こった好ましくないできごとが多く、フランスのほうが日本に比べて外交、国際問題が多いような気がする。ま、どちらにしろ、心温まるニュースなんていうのは少ない。ところが先日、ボケーっとネットの「France2」を見ていると、ちょっといい話があったので、書いてみることにした。

歌う乳がん専門医がフランスのボルドーにいる

話題の場所はフランスボルドーの外科手術室。手術室から聞こえてくるのはゴスペルかR&Bっぽい歌声。何かの催しがあってプロの歌手を招いているのかと思いきや、それが違うのだ。 歌声の主はAïcha N’Doyeさんというれっきとした乳がんの専門医。歌はアレサ・フランクリンの「You make me feel like a natural woman」で、それはもう、プロの歌手と聞き間違えるほどの美声なのだ。

www.francetvinfo.fr

アイシャさんが手術前に歌うようになったきっかけ

外科医のアイシャさんは言う。「最初のきっかけは、とても興奮していた患者さんに出会ったことです。彼女はあまりに取り乱していたので、麻酔医も処置ができず、もう手術は無理かなと思われたほどでした。しかし私が歌い始めると、彼女は私の歌を聴くようになり、点滴も受け付け、睡眠導入も可能になったのです。それ以降、手術があれば歌うようになりました」

これを彼女の同僚がSNSに投稿したところ、なんと10万ものPVを集めるようになったという。「人手不足をはじめとする問題が山積し、陰欝な空気に包まれている医療界にとって、これはとてもすばらしいこと。人間性のない医学なんてありえないことだから」と同僚のアメリーさんも語っている。

アイシャさんの歌はうますぎてレパートリーも広い

しかしアイシャさんの歌、うますぎる!歌手を目指し、舞台に立ったこともあるというのも頷ける。手術を待つ患者さんはみな、不安と恐怖に押しつぶされそうな気分だろうだから、こんな歌を歌ってくれるお医者さんがいたらどれほど心強いだろう!

また、下のYouTube動画では3:00あたりから、シャルル・アズナヴールの「ラ・ボエーム」も歌っているというレパートリーの広さ!彼女の歌にあわせて、吸入器をつけた患者さんも「ラ・ボエームラ・ボエーム」と唇を動かしているように見える。ああ、音楽の力ってすばらしい!

www.youtube.com