夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

円熟のピアニスト小川典子さんの演奏をテレビでみる

BSテレ東「おんがく交差点」で演奏する小川典子さん

ピアニスト小川典子さんが出演したBSテレ東「おんがく交差点」

ふだんほとんどテレビを見ない私が、BSテレ東おんがく交差点」にピアニスト小川典子さんが出演されることを知ったのは、偶然以外の何物でもない。たまたま映画を録画しようと思い、テレビの番組表をリモコンでいじっていたら、「ピアノ」と「小川典子」という文字を見つけたので、とるもとりあえず予約ボタンを押した。小川典子さんと言えば、先日図書館で借りた著作「夢はピアノとともに」を読み、ブログの記事にも書いたばかりだからだ。

kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com

 

番組はまず、小川典子さんの迫力のあるピアノ独奏、エルガーの「威風堂々」から始まった。これは小川さんが現在、ロンドンにお住まいということを踏まえた選曲だろう。次に小川さんと小朝師匠、ヴァイオリニストの大谷康子さんを交えてのトークとなった。

小川典子さんの子どもピアニスト時代

著作でも紹介されていたが、小川さんは子ども時代、当時の音楽界の重鎮であった井口愛子氏に師事されている。井口愛子氏とは、亡くなった中村紘子さんのお師匠さんであった。そのレッスンはそれはそれは厳しいものだったらしく、立ち会っていた小川さんのお母様がお手洗いで涙した、というくらいだからすごい。

その甲斐あってか、小川さんは小学校6年のときと高校1年生のときに全日本学生音楽コンクールで1位に輝く。ところがそのとき師事していた弘中孝氏に「コンクールはしょっちゅう行われているし、毎日誰か1位になっている」と言われるのだ。キビシいな~

考えてみれば小川さんが小学生で1位になったのは1973年。それから数えたら小・中・高と50人x3の150人が1位になっているわけだ。その優勝者はみなプロのピアニストとして活躍しているのだろうか? だったらいいけど、世の中はそう単純ではない気もする。

ピアニストの条件は太うで腕まくり?

さて順風満帆に見えた小川さんのピアノ修業時代だが、そのあとなぜか師事する先生が次々に病に臥せられるという不運に見舞われる。リーズ国際コンクールに応募する前にやっと理想の師に出会われたそうだが、その先生はピアノを弾く前に腕まくりをした小川さんの腕が意外に(?)太いのを認めて、「こりゃいけそうだ」と思われたそうだ。そうか、ピアニストは太腕でないといかんのだ。細腕で白魚のような指のピアニスト、というのはイメージだけなんだね。

メディアにはもっと円熟のピアニストを紹介してほしい

現在は浜松国際ピアノコンクールの審査員長も務める小川典子さん。同時にイギリスに留学された当初、自閉症のお子さんがいらっしゃる家庭に下宿したご縁から、自閉症児とその家族を支援するコンサートも開いていらっしゃる。ご自分のピアノ、音楽だけでなく、外に開かれた眼をお持ちのピアニストなんだろう。メディアはショパンコンクールをはじめコンクールに入賞した若いピアニストの話題が中心だが、こういった、いわば円熟の境地に達したピアニストのことをもっと紹介してほしい。だって長く続けるって本当に大変なのだから!

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