夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ショパンのせいではなく50肩なのかもしれない

ジャズピアノのレッスン形態

クラシックピアノと同じく、私は月2回のペースでジャズピアノのレッスンも受けているが、こちらはあるカルチャーセンターの科目のひとつとしてお教室が開かれており、そこに先生が出張レッスンに来てくださる、というかたちで行われている。

そのせいか、レッスン日はカルチャーセンターの年間計画であらかじめ決められており、時間も決まっている。これが私にはとても心地よい。毎回バスの時間を確かめたり、先生からのメールの読み違いがないかどうか確かめる必要がないからだ。このカルチャーセンターは良心的なのか、ヤマハジャズピアノコースなどに比べるとお月謝もずっと安い。そしてレッスン時間は40分あるから多少先生と雑談する時間もある。

肩の異変を先生に説明すると

先日、レッスン室にはいっていくと、いつものように先生が「お元気でしたか?」と聞いてくださった。それで私は、

「はい、でもこの頃、肩が痛いんです。今、クラシックでショパンプレリュードをやっているんですけど、こんなのがあって」と私は右手左手をピアノの上で交差して説明した。

「これがとっても弾きにくくって、そのせいで肩の筋肉がおかしくなったと思うんですけど」

すると先生は、

「へぇー そらやりにくいわな。そやけど50肩の可能性もあるんちゃうか?」

ジャズピアノの先生の50肩経験談

実は私は50代のときに50肩と診断されたことがある。治ってみたら喉元過ぎれば、というやつでどっちの肩が痛かったのさえ、覚えていない。それに50肩は一回罹ればもう罹ることはなく、50代を過ぎれば罹ることもないと思い込んでいた。それらはみな私の根拠のない思い込みである。

「僕なんか2回もなったで」と先生は言う。

「痛くて、痛くて。もうピアノなんか弾かれへんかったわ。ライブハウスに出演しとったときな、あんまり痛くて弾かれへんねん。そしたら偶然、お客さんのなかに鍼灸師さんがおってな、それで途中で針打ってもろてん」

「えーそうなんですか? でも私のはそのショパンの曲以外やったら、何を弾いても痛くないんです」

「ほなら、ほかに痛いときないの?」

「ありますよ、髪の毛を括るときとか、背中が痒い時に掻いたらとか」

「そんなん旦那に掻いてもうたらええがな」

確かにピアノを職業とするかたが50肩になったら死活問題だろう。ちなみに先生の場合は、或る日突然、ケロっと治ったそうである。そこで二人してトワ・エ・モワのかつてのヒット曲「或る日突然」を歌った。こういうのも同世代だとすぐわかりあえていいものである。

風と共に去りぬ」には2種類ある

現在ジャズピアノでやっている曲のひとつに、「Gone with the wind」(風と共に去りぬ)というのがある。題名はまさしくマーガレット・ミッチェルのベストセラーで映画化された不朽の名作と同じである。そしてどちらも発表されたのが、1936-37年と同じようなものだから不思議な縁である。

しかしポピュラーソングの「Gone with the wind」は小説のように歴史大河物ではまったくない。「私のロマンスは風に舞う木の葉のように、飛び去ってしまった。きのうのキスはまだ唇に残っているけれど、みんなみんな終わってしまった・・・」というような、いわば失恋やけっぱちソングである。

一番有名なのはヴォーカルのエラ・フィッツジェラルドのだろうが、ピアノをやるものにとってウィントン・ケリー (Wynton Kelly) の名演ははずせない。

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ジャズピアノでは指の準備はいらない

ウィントン・ケリーの「Gone with the wind」はクラシックでいうプレスティッシモ並みで♩=220以上かと思う。私が弾くと、どうやっても♩=180 が限界かと思うが、それでも弾き方のコツとして、

「クラシックのように指を準備してから打鍵してはいけない。とにかくすぐ打つ、すぐ叩く!」

というのを教わった。なるほどクラシックピアニストのなかには、ふわっと手を鍵盤に置いてから打鍵するかたがいるが、あれはジャズではNGということだな。今回の先生のアドヴァイスは比較的わかりやすかった。