夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ショパンの楽譜を改ざん?するのは「クラシック道」からはずれるのか

ショパンプレリュード17番をラクに弾く裏ワザ

ショパンプレリュード17番では、楽譜通りに弾こうとすると、右手左手が交差し、大変弾きにくい思いをすることは以前、何回か記事にした。

kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com

その弾きにくさをがまんしているうちに、私は筋肉痛なのか50肩かわからないのだが、とにかく肉体的にある種の不快感を味わうようになった。これを避けるためにいちばん有効なのは、この曲を弾かない、あるいは、この曲を楽譜に書いてある通りに弾かないことらしい。

なにもジャズのようにメロディーをフェイクさせるとかアドリブする、というのではなく、要するに左手部分の一番高音を右手親指で弾き、右手部分の一番低音を左手親指で弾けば、腕も指も交差することなく、ラクに弾けることにきづき、それは私にとって「発見」といってよかった。

アタマが固いと指使いの即変更はむずかしい

ここまできたらもう弾けたようなものである。普通は。右手親指の音が目にはいれば、それを左手の親指で弾き、左手親指の音が目に入れば、右手親指で弾けばいいのである。あるいは一回楽譜通りに鍵盤に指をおいてみて、あと右手左手の親指同志の音を入れ替えればいいのである。

ところが私にはこれがすらすら、とはいかなかった。ひょっとしたら子どものときだったらすっとできたかもしれない。アタマも今より柔らかかったに違いないから。

音符を書き換え、貼り付けるという作業

音の入れ替えがすらすらできない私は自分に見切りをつけ、重要部分のみ楽譜を書き換えることにした。といっても楽譜に加筆していくと、それだけのスペースがないため何が何だかわからなくなる。それでまず、私は夫にもらった五線紙のレポート用紙みたいなもの(上辺がはぎ取れるヤツ)に書き換えた音符を書いた。

ふだん音符を書くことに慣れていないのでこれも結構むずかしい。私が書く字もふだんは大きいせいか、おたまじゃくしも黒丸がまるまる太っている。こんなおたまじゃくしだと、音符がミとファとか隣接した場合、いったいどっちなのかもわかりにくい。

次に小節ごとにそれを切り取り、該当の譜面の上に貼っていった。これもベタっと貼るのではなく上辺のみを両面テープではりつけ、もとの音符を確認したいときはそれをめくって見えるようにした。するとたちまち楽譜は(といってもコピーしたものだが)、窓がいっぱいあるように見えた。

といえば聞こえはいいが、出来栄えは全体的にみてぜんぜんキレイではない。これならまだ譜面に書き込みをしたほうがよかったのではないだろうか? 先生はこんなのを見たらなんと言うだろうか?

貼り付けたもので汚くなった譜面

改ざん楽譜を見たときの先生の反応

おっかなびっくりでこの譜面を持参してレッスンに行ったのだが、よくあることながらバッハシンフォニア4番のレッスンに時間がかかりすぎ、ショパンプレリュード17番にまで手が回らなかったのだ! というか、先生は私がプレリュードも練習していることをすっかり忘れていたのだ!

「ごめんなさいね~~」と謝る先生に私は、

「いえ、いいんです。これは次回で。でも楽譜通りに弾くと腕や肩が痛くなってしまったので、こんなのを作ったのですが、これを見ながら弾いてもいいですか?」と先生に改ざんした譜面を見せながら言った。

その時の先生の顔!鳩が豆鉄砲を食らったときの顔、というのはこういうときに使う表現だろう。

「え?両手が交差したら弾きにくいの? だったらショパンはなんでそんな楽譜を書いたのかしら?」(そんなん私が聞きたいわ!)

あー、先生にはこの曲は弾きにくくないのか?弾きにくい、と思う生徒がいて、そいつが譜面を書き換えるとは露とも思わぬものなのか?ガチのクラシック道を歩むひとにはありえない発想なのかもしれない。