映画「グッドモーニング、ベトナム」をみたきっかけ
私のここ1年ぐらいの習慣となった映画鑑賞の仕方は、もちろん映画館に足を運ぶのではなく、まずNHK BSで放映される映画をあらかじめ調べ、私、あるいは夫が好みそうなものをリストアップし、録画予約しておく。
そして時間のあるたいていは日曜の午後、夫(ときどき私)のつくったランチをみながら食べるのだ。
きょう記事にした「グッドモーニング、ベトナム」については私は当初、まるで予備知識がなかった。ただ、「あ、ロビン・ウィリアムズの映画でまだ見ていないのがあるわ」と思っただけである。
彼の芸達者ぶりにはいつも驚嘆させられるので、今回もそれをみる目的でこの映画を録画した。なるほど面白くて、英語、とくにスラングがわかればもっともっと楽しめたのに、と思うと今さらながら自分の英語力が情けない。
けれども字幕を読みながら笑えた。そして私の大大好きな、サッチモことルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」(原題:What a wonderful world) が映画のなかで流れると、笑いのなかでもしんみりしてしまったよ。
そして同時に思い出した。
私の生まれる少し前にはじまり、大学1年生のときに終結したとされるベトナム戦争のことを。
「グッドモーニング、ベトナム」のあらすじ
1987年公開のアメリカ映画「グッドモーニング、ベトナム」のあらすじをざっくりご紹介すると・・・
実在の人物、エイドリアン・クロンナウア(Adrian Cronauer) は激化するベトナム戦争の前線で戦う兵士たちの士気を高めるため、1965年、サイゴン(現ホーチミン)に、ラジオ放送のDJとして派遣される。放送禁止用語をも無視した型破りのマシンガントークDJとしてクロンナウアはまたたく間に兵士たちの人気をさらうが、彼のことをよく思わない上層部との溝はふかまるばかり。
一方、仕事ばかりではないクロンナウアは着任早々、美しいベトナム娘を見染め、持ち前の行動力とドルの力で彼女に取り入ろうとするが、彼女の弟からは「まった」がかかり・・・
1960年代ボーイズはソフトな音楽がお嫌い?
クロンナウアとは実在の人物であるらしいが、彼の音楽の好みはたぶんおおかたの当時のアメリカの若者の好みを表していると思う。
つまり、ビーチボーイズ、ボブ・ディラン、レイ・チャールズ、ジェイムス・ブラウンは聞きたい音楽で〇(1965年なのにビートルズのビもでてこないのがちょっと不思議)
一方、徹底的にけなされているのが、マントヴァーニ、パーシー・フェイス、ペリー・コモ、アンディ・ウィリアムスなどのいわゆるムード音楽。
村上春樹氏は「エレベーター・ミュージック」と評していたっけ。
現代なら癒しの音楽と呼ばれ、一定のファンからは高い支持をうけていると思うのだが、血気盛んな60年代ボーイズには退屈きわまりない音楽と受け取られていたようだ。
そして映画中で政治家や有名人のモノ真似をしながらしゃべりまくるDJのクロンナウア!なんとほとんどは演じているロビン・ウィリアムズの即興だそうだ。いやこれにはまいったなぁ!
(Wikiより引用はじめ:Most of William's perfomances that portrayed Cronauer's radio broadcasts were improvisations. :引用終わり)
サッチモの「この素晴らしき世界」にはいつもうる目
クラシック、ジャズ、ポップスを通じて、ひょっとして私の一番好きな曲は「この素晴らしき世界」かもしれない。
聞くたびにうる目、涙目になり、そして聞いた後は、「この世界は思うほど悪くはないのかもしれない」と思うのだ。
それにしては世界はあまりよくなっているとは感じられないけど。
1970年代には子どもの私でも強烈に感じ取った「反戦」ムードは、現代ではそれほどでもないように感じる(戦争があるにもかからわず)。
これは地球がなくなってしまうか、AIに人類が滅ぼされるかという現代では、「反戦」も霞んでしまう、ということなのか?
それでは映画のサウンドトラックで「この素晴らしき世界」をぜひお聴きください!