夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

映画「8月の家族たち」は特級の激辛ホームコメディ

2013年のアメリカ映画「8月の家族」(原題:August : Osage County)

橋田寿賀子の辛口ホームドラマをもっと激辛にしたら

2013年のアメリカ映画「8月の家族たち」をネットで調べると、ブラック・コメディ映画だと紹介されている。

コメディがつくからには、いかにブラックがついていようと、多少のひねりはあるものの、ワハハハと笑える映画だと解釈する人がいるかもしれない。

しかしこの映画は確かに見ごたえがあるものの、ワハハハとはあまり笑えない。

笑えるとしたら、まだ大人になりきれていない、子どものように純粋な心をもったひとか。

これは語弊を恐れずに言えば、橋田寿賀子の辛口ホームドラマをもっと激辛にしたものだと言えば、おのずとこういうのに興味がある人、ない人がわかると思う。

だいたい男の人は総じてあまり好まない。

彼らが好むのはアクションかバイオレンスだから。

明快なハッピーエンドを好む人にも受けはよくないのでないか?

反対に、老いた親から遠く離れたところに住んでいる人、家族間になんらかのわだかまりがある人、人間の心理の微妙な綾に興味のあるひとには、大いなる共感を呼ぶことと思う。

現在はYouTubeアマゾンプライムでも観られるみたいなので、家族の問題に興味のあるかた、メリル・ストリープジュリア・ロバーツのファンにはぜひ一度、鑑賞をおすすめしたい。

www.youtube.com

メリル・ストリープジュリア・ロバーツの演技が圧巻

この映画を橋田寿賀子の辛口ホームドラマ以上のものにしているのは、なんといっても俳優陣のすばらしさであると思う。

喉頭がんで痛みを忘れるため薬中毒に陥りながらも、家族に毒のあることばを吐き続ける母親にメリル・ストリープ、圧巻である。

母親と丁々発止の対話を繰り広げるのが長女役のジュリア・ロバーツ

せりふだけで膨大な量だと思う。

これだけのせりふを覚えられるなんて、やはり俳優さんも、暗譜が必須のコンサートピアニストを同じくらい大変なのではないだろうか?

ところでこの家族の罵りあいは、息が詰まるほど見ごたえがあるのだが、これがもし日本が舞台だったらどうなるのだろう、と思った。

日本人だったらこれほどどす黒い感情を露わにして、皿も割ったりするだろうか?

もっと感情を内面に押し殺した演技になると思うのだが、そんな映画があるのなら見たいものだ。

メリル・ストリープが46年連れ添った夫と別居中

この映画でメリル・ストリープを見てから、村上春樹さんが昨年末にメリル・ストリープについて書いた記事(正確に言えば、DJ中のことば)を思い出した。

メリル・ストリープが46年連れ添った夫と別居中であることを知った、というものである。

いったい、大女優が実生活で「別居しましょう」と夫に言う時、どんな顔、表情、言葉を発するのだろう。

発しながら、自分がこれまでに演じた役柄と二重写しになることなんかないのかな、と思ったりした。

いやはや余計なお世話ではあるが・・・