夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

アニメ映画「セロ弾きのゴーシュ」が教えてくれたこと

1982年の日本アニメ映画「セロ弾きのゴーシュ

「Celloscope」でとりあげられた「セロ弾きのゴーシュ

1982年の日本アニメ映画「セロ弾きのゴーシュ」は言うまでもなく、宮沢賢治の童話「セロ弾きのゴーシュ」を下敷きにしている。

私はこれまでこのアニメはもちろん、原作の童話も読んだことがなかった。

これに親しむようになったのは、フランスのチェリストAlexis Decharmes(アレクシー・デシャルム)さんがナレーターをつとめる「Celloscope」にとりあげられたからだ。

映画に登場するチェロのクラシック音楽を、デシャルムさんがわかりやすく解説してくれる「Celloscope」は私の大のお気に入りだ。

ピアノ関連でこういう動画もあればいいのに、と思って探しているがいまだみつかっていない。

映画と音楽が好きなフランス語学習者のかたには、ぜひぜひおすすめしたいと思っている。

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セロ弾きのゴーシュ」のゴーシュとは?

ところで宮沢賢治の登場人物名はなぜみんなカタカナなのだろうか?

私は以前からこれが気になってしようがなかった。

ところで「セロ弾きのゴーシュ」の「セロ」は「チェロ」、「ゴーシュ」はフランス語で第一の意味は「左」である。

もちろん、子どもの頃はその意味も知らなかったが。

しかしフランス語は多義語であるゆえ、「ゴーシュ」には不器用な、ぎごちないという意味もあるそうだ。

これは夫ちゃんに確かめないと、と聞いて見ると、

「その意味もあるけど、それよりも左派じゃない?」

と言うのだ。

またまたフランス語のムッシュー先生に確認すると、

「彼は(政治的に)左派だ」という文章を正確に書くと、

Il est de gauche.

となり、前置詞にdeを伴うそうだ(ウチの夫ちゃんは文法を忘れたか?)

だから「セロ弾きのゴーシュ」には「ぶきっちょチェリスト」と言う意味が込められているのかもしれない。

セロ弾きのゴーシュ」日本語全編と青空文庫

登場人物のゴーシュは下手クソなチェリストで、いつも楽団長に叱られている。

しかしゴーシュは尊敬するベートーヴェンの「田園」を弾かんがために、必死で夜な夜な練習しているのだ。

そんなゴーシュのもとに、まず「猫」が訪れる。

ベートーヴェンの「田園」よりもシューマンの「トロイメライ」を弾けという生意気な猫にゴーシュは腹を立てる。

次は「カッコウ」。

カッコウと一緒に同じ音を繰り返すうちにゴーシュは何かに気づいたようだ。

次に登場した「狸」が教えてくれたのはリズム。

最後に「ねずみ」の親子が訪れたとき、ゴーシュはすでに病気の子ねずみを音楽で癒そうという優しい気持ちになっている。

このように子どもにもわかりやすい、ゴーシュの心と音楽の成長物語なのだ。

日本語の全編は↓。

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原作はすでに著作権が切れているので、青空文庫でただで読めるのも嬉しいところ。

宮沢賢治 セロ弾きのゴーシュ

「肩こり」と「ご遠慮」は日本的すぎる?

あとで気がついたのだが、猫のフランス語と日本語のセリフはかなり違っている。

誤訳というようなものではなく、原文の日本語だとフランス語の意味にした場合、いささかわかりにくいと翻訳者は思ったのでないだろうか?

例えば、日本語では

「いつもいつもベートーヴェンさんではお肩が凝りませんか、先生? たまには何かやさしいものを」

となっているのに、フランス語では

ベートーヴェンはちょっとあなたには難しすぎると思います」

(J'ai peur que ce ne soit un peu difficile pour toi.)

シューマンの『トロイメライ』のほうがいいのでは」

(Si tu ne jouais plutôt Rêverie de Schumann

また、

「いやー、ご遠慮はいりません」は

「もったいぶらないで」

(Ne fait pas de manières)

になっている。

やっぱり「肩こり」と「ご遠慮」は日本的すぎるのだろうか?