私が弾けるピアフの曲
私がリード・シートなしで弾けるピアフの曲は、先日ストピで弾いた「パリの空の下」「愛の讃歌」「バラ色の人生」の3曲だけ。
この3曲は、私にとっては石器時代のような大昔、ラウンジピアニストをしていたとき、絶対弾けないとだめだったから、いわば必要不可欠なため覚えた。
ほかにもピアフの曲で好きなのは、「Je ne regrette rien」「Padam Padam」「ミロール」などがあるが、これらはシャンソン専門の店でもないかぎりリクエストはこない。
だから覚える必要はなし。
なにせキャパが限られているので、必要に迫られないとやらないのだ。
しかし、日本ではリクエストはおろか、熱烈なピアフファンでもない限り、知られていないのに大好きなため、ときどきトライしてみた曲がある。
それはピアフが2人目の夫と歌った「A quoi ça sert l'amour」(恋は何のために)である。
ピアフとテオが歌う「A quoi ça sert l'amour」(恋は何のために)
YouTubeができるまで私はこのデュエットの映像を見たことがなかった。
ところがこの文明の利器のおかげで、若くてハンサムで長身のテオと、彼の3分の2の身長しかないピアフとの掛け合いが見られたのだ!
歌詞を以下にご紹介すると・・・
恋はなんになるの?
皆いつもよく分からない話をするけど
恋をして何になるのさ?
恋は説明できないものよ!
それはこんなもの!
どこからともなくあらわれてひとを突然つかまえるの
僕は聞いたことがあるよ
恋は辛くて泣かせるものだって、
恋をして何になるのさ?
恋が何になるのかって?
恋は私たちに喜びを与えるし目に涙を浮かべさせるの
それは悲しいしまた素晴らしいのよ
でもひとはよく言うよ
恋にはがっかりさせられて
二人のうちどちらかがまったく幸せじゃないことになるって
たとえ失った後も恋は蜜の味を残してくれるわ
恋、それは永遠のものよ!
それはみなすばらしいことだね、
でもすべて終わったとき恋は大きな悲しみしか残さないでしょ
いまは胸を引き裂くように
あなたに思えることも
明日は、あなたにとって
うれしい想い出になるわ!
つまりさ、僕が理解したとしたら、
人生に恋がなきゃ、喜びも、悲しみもなく、
無意味に生きたってことかい?
そうなのよ!わたしをみて!
毎回わたしはそれを信じるわ!
そしてずっとそれを信じるでしょう
そのためのものよ、恋は!
けどあなたはね、あなたは最後の人
けどあなたはね、あなたは最初の人
あなたの前には、誰もいなかったし
あなたといるとわたしはごきげんなの
わたしが欲しいのはあなた
わたしに必要なのはあなた
あなたをずっと愛するわ
そのためにあるのよ、恋って
ピアフのために生きたようなテオの人生
最後のほうの歌詞で「あなたは最初で最後のひと」と言う表現があるが、恋多き人生を送ったピアフにとってテオは最初の男性ではない。
これは作詞家が、勢いにまかせて書いてしまったのかな?
それとも、テオと出会ってあまりにも幸せなので、ピアフの記憶から過去の男性がぶっ飛んでしまったのかもしれない。
「愛の讃歌」を書くきっかけになったボクサーのマルセル・セルダンも、イブ・モンタンも、アズナブールも。
とにかく46歳のピアフは26歳のテオと結婚し、47歳で亡くなった。
ピアフの死後、テオは彼女の莫大な借金を返済し、そこそこにソロでの歌も売れ、そして・・・
34歳の若さで自動車事故で亡くなっている。