「エディット・ピアフ愛の讃歌」は2回目の視聴
「エディット・ピアフ愛の讃歌」(原題 La Môme)がNHK BSで放映されていたので、見たことはあるものの、もう一回見ることにした。
最初に観たときは、ピアフを演じた主演のマリオン・コティヤールの神がかり的な乗り移りにあっけにとられ、それしか印象に残っていなかったように思う。
たしか、語りの時間軸が過去と現在を行き来するため、ちょっとわかりにくいかなぁ、と感じたのだ。
もちろんピアフの老け方というか、やつれ方で「あ、これは今のハナシやね」とか想像はつくのだが。
しかし今回見て、よくわかった。
複雑そうに見えるピアフの伝記映画ながら、この映画の焦点は以下に絞られると思うのだ。
- 両親の愛情にも飢え、経済的にドン底だった少女時代
- 恋多きピアフだったが、この映画ではボクサーのマルセルが「愛したひとはあなただけ~」みたいになっており、年下夫のテオとも晩年はうまくいっていなかったことが示唆されている。
- マルセルを死なせたという罪悪感から(早く会いたいから飛行機に乗って、といったらそれが墜落した)薬物依存症となり、カムバックのためにもがく晩年。
では、それぞれの観点から印象に残った曲をあげてみよう!
ラ・マルセイエーズで路上歌手デビュー
大道芸人だった父について、投げ銭あつめをしていた9歳ごろのエディット。
何か芸をやれ、と聴衆と父にせっつかれ、やむなく歌ったのがフランス国歌の「ラ・マルセイエーズ」。
ところがこの少女らしからぬ歌声に聴衆からはやんやの喝采で、思いがけなくも路上歌手デビューを飾ることになる。
フランスで最も売れた曲「ラ・ヴィ・アン・ローズ」
「バラ色の人生」で知られる「ラ・ヴィ・アン・ローズ」は1946年のヒット曲だが、シャルル・トルネの「ラ・メール」と並んでフランスで一番売れた曲らしい。
残念ながら著作権の問題で動画が貼れなかったのだが、映画ではこの歌を聴きながら恋人のボクサー、マルセルがニコニコしている場面、そしてマレーネ・ディートリッヒがわざわざ「長くパリに行っていないが、あなたの歌でパリへ行った気になって、涙がでた」といいに来てくれた場面に使われている。
何も後悔はない、という歌「水に流して」
最後に「水に流して」という邦訳で知られている「Non, je ne regrette rien」。
この歌はひそかに直訳のほうがええんではないかね?と思っているのだが・・・
それか「我が人生に悔いなし」とか。
歌詞の大意は以下の通り
私は何も悔やんではいない
ひとが私にした良いことも悪いことも
みな私にとっては同じこと
支払は済ませたし、一掃したからもう忘れた過去なんかどうでもいい
過去の思い出をくべて私は火を起こす
悲しかったこと、うれしかったこと
そんなものはもう要らない心の震えが永遠に消し去られるとともに
過去の恋を一掃し
私はゼロから再出発する
映画では、この曲を持ち込んだ作曲家がピアノで弾き語りをするやいなや、ピアフは感動し、「これこそ私が待ち望んでいた歌!」と感激するのだ。
ただアハアハ笑うだけのコメディーとか、ハラハラドキドキのアクション映画ならいざ知らず、映画によっては2度みないとわからないものってあるもんだね。
幸いに、というか、最近の映画ではあまり気に入ったのがない。
だからこれからは、もう1回みていいかも?と思ったものは躊躇せずに見ることにしようか。
そしたら映画も人生も2度おいしい、ということになりそうだ。