
iReal Proというアプリの演奏は誰?
私は自分のジャズピアノの練習用として、iReal Proというアプリを使っている。
これを一言で言うと、約1450曲超のジャズのスタンダード曲のコードをスマホの画面で提示してくれ、かつそれにのっとって、ピアノ・ベース・ドラムのバッキングを演奏してくれるアプリである。
ネットを徘徊していると、プロ、アマを問わずジャズをやるひとはみなこれを使っている、とある。
ところが私のジャズ師はこれをご存じなかった。
というのは、師の場合、いつでも自分のピアノにあわせてくれるミュージシャンを調達できるからであろう。
人間以外のものに頼る必要性がないのだ。
私がこのiReal Proというアプリを見せたとき、師はバッキングの演奏を聞いて、
「それ、なんやねん?」
と聞いた。
たぶんその演奏は誰によるものか、という趣旨の質問だと思った私は
「さあー、AIじゃないでしょうか?」
と答えたが、本当は何も知らない。
とにかく人間の代わりをしてくれるものとして、最近ではロボットではなくAIというようにしている。
そのほうがなんか今風な雰囲気するでしょ?
しかし師は、
「最近の若いヤツはみんなこんなんつこてるんやな。
そやから演奏が機械的やねん」
と苦々しげだった。
そやけど私は「若いヤツ」でもないから、それって偏見では?と思ったが、さすがの私もここでは黙った。
賢くてしかも黙ってついてきてくれるiReal Pro
しかしiReal Proはかしこいよ。
本当にビックリするほどだ。
まずテンポ設定は自由。
これはメトロノームといっしょだけど。
秀逸なのは、一発でキーが変えられることだ。
たとえば「枯葉」のデフォルトはGm。

それを例えば「私の声にはあわへんからEmにして!」という自己中な(?)ボーカリストがいたとする。
そしたら下のキーのリストからEmを選んでタップすると、

瞬時に移調してEmのリードシートを提示してくれる。

この賢さ!
これができる前は一生懸命、ド➡シ➡ラとかファ➡ミ➡レとかアタマのなかで3度下げようとして、脳細胞は大混乱だったのだ。
そしてもちろん、私のパートはピアノなので、ピアノの伴奏はいらない。
ということでピアノは消すことができる(AIのほうがうまいんだけどね)

かくして私はコントラバス(ベース)の音だけを聴き(ドラムはちょっとうるさい)、リードシートを何周もする。
iReal Proのベースさんとドラムさんは、私のピアノにすすんであわせようとはしないが、それでも文句も言わず、黙ってついてきてくれる。
申し訳なくもありがたいバックミュージシャンである。
伴奏も世間話もAI相手になりそうな将来
ふとみるとiReal Proからメールがきていた。
そんなこと今まであったっけ?
それによると、ブラジル音楽のバッキングがさらに新しく11スタイルも加わったそうである。
なにかというと、アフォクセ・バイアオ・ボッサバラード、マラカトゥ・・・
いや、全然知らんわ。
けれど試しにデモ演奏を聞いただけで楽しくなってきた。
どうやらこれらを利用するためには追加料金が必要らしいのだが、売り文句にはこうある。
偉大なドラマーでありパーカッショニストのロジェリオ・ボカートと偉大なギタリストのレアンドロ・ペレグリーノとタッグを組み、ブラジルで最も人気のあるスタイルの本格的な演奏をお届けする。
ということは、ホンモノのミュージシャンの演奏をAIに学習させているってこと?
だとしたら、どうせ機械の演奏なんか、とバカにはできないよね!
ああこのぶんだと、AIにピアノの伴奏をしてもらい、チャットGPTに世間話の相手をしてもらうというのが私の日常生活になりそうだ。