
一番苦手なところから始めるベートーヴェン10番
新しい曲にとりかかるとき、普通のひとはどう始めるのだろう。
やっぱり最初から1小節ずつ追っていくのだろうか?
私もずっとそんなやり方だった。
でもこのごろでは自分の苦手部分についてはかなりはっきりわかっているので、そこから始めるようにしている。
そもそも冒頭部分のメロディーが気に入ったからこの曲を選んだぐらいだから、最初の部分ではそんなに苦労しないだろう。
しかし中間部。
右手が16分の3連符で左手が朗々とテーマを16分音符で歌うところがある。

「やーだな」と思った。
ここはちゃんとできるようになるまで時間がかかりそうだから、最初にやらねば。
なぜって右手は16分音符が3 x 4 の12個。
左手は16分音符が8個。
12 ÷ 8 は割り切れない。
ということは右手音符のどこかのスキマに左手を差し込まなければならない。
あぁ、こういうのって本当に苦手なのだ。
以前、ドビュッシーの「アラベスク1番」や「パスピエ」でもこの「ポリリズム」がでてきたと思うけれど、それが全然活かされていない、というか脳が学習していない。
すくなくともこの部分は、他の部分の10倍は練習しないといけないだろう(タメ息)。
先生のリズム打ちを動画に撮る
その練習にとりかかる前に、私は先生にあらかじめ告白した。
「私、こういうのって本当に苦手なんです。」
すると先生は笑って、
「え?そんなことはないでしょう?
ジャズをやってるひとがリズムに弱いなんて」
そんなの関係あるのかなぁ。
ともかく、それなら、ということで先生と一緒にリズム打ちの練習をした。
つまり左手が3回、ピアノの蓋を叩いている間に、右手は2回。
こんどは右手が2回たたく間に左は3回。
先生はどんどん進むのに、私はときどき、
「あれ? あれ?」
と言いながら止まってしまう。
しかたがないので、先生が叩く様子を動画に撮った。
ああ、便利な世の中になったものだねぇ。

鍵盤を押す順番をエクセルに書いてみた
さて机を叩くのはなんとかできそうだったが、家で弾いてみるとやっぱりできない。
できない、というかわからない。
どこの音符のあいだにどこの音符がはいるのか?
しかたがないからエクセルで84小節目の図解を書いてみた。

これを見ながら考える。
鍵盤を押す順番は、左手ファと右手レ 右手ド 左手レ 右手ラ ・・・
と考えながら。
あーーややこしい。
これであっているのかどうかもわからん!!
右手も左手も自分の道を行くことにした
ところがふと思いついて、左手の主題メロディーがちゃんと弾けないのにここが弾けるわけがない、と思い立った。
そこで左手だけ数回。
さて、右手。
右手はタタタ タタタ の連続だから別に難しくはない。
でもいちおうちょっと練習。
そしてですね。
もうお互いはお互いの道をいくほかはないんじゃないか、と思った。
つまり右手も左手も、相手のことは気にせず、ゴーイングマイウェイで行けばいいのではないか。
右手は左手のことなんかにかまっちゃいられない。
左手は右手に合わせることなんか考えず、ひたすら自分の歌を歌う。
といっても、主題は左手が歌うのだから、動作の主である私の意識は、主に左手にいっている。
右手はただ同じパターンを崩さないよう、3連をくりかえすだけ。
こうやってやってみると、あれ、意外にうまくいきそうなのだ。
そして先日のレッスン。
先生によると、
「いいですね。
ちょっと右手の3連がタタタのところ、タタータに聞こえるところもあるけれど、慣れればもっと自然になるでしょう」
やった!
バレンボイムによるベートーヴェン10番Op.140-2
苦労の甲斐あって、どうやら難所を克服できそうなのだ。
ひょっとしたらこれは案外早く合格できるかもしれない。
と思ったのは、下のバレンボイムの動画をみるまでの幻想だったみたい・・・
