夢でささやくピアノ

ジャズ、ポップス、クラシックと音楽の森をさまようねむいゆめこの音楽日記

「上を向いて歩こう」で考えるコード進行とリハーモナイズ

準国歌にしたい「上を向いて歩こう」

GW前に行われる卒業中学の古希を祝う同窓会で、私は70年代の懐メロを弾くことになっている。

曲目に関する打ち合わせでは、ザ・フォーク・クルセイダーズの曲が多くを占め、「上を向いて歩こう」はリクエストにはいっていなかった。

この曲が大ヒットしたのは60年代で、私たちも当時は小学生以下だったせいかもしれない。

しかしあとにもさきにも米ビルボード誌で1位を獲得し、日本のイメージ向上にも役だった純国産ポップスはこの曲だけのはず(スキヤキという英題はよくないけど)。

だからこの曲があってもいいんじゃないかなぁ。

だって村上春樹氏も、この曲は「君が代」に次ぐ準国歌にしたいぐらいと言っていた(出典が思い出せないのが残念だが、本当に言っていたのだ!)

そう、私も大好き。

なぜかというと、覚えやすいポジティブな内容のメロディーなのに、コード進行にひねりがある。

永六輔さんの歌詞も味わい深いけれど。

ビージー・アデールのコード進行とリハモにあれれ?

まずコード進行にひねりというか、スパイスがきいているところは、歌詞でいうと「幸せは雲の上に、幸せは空の上に」というところ。

わかりやすいようにキーをCでいうと(原曲はG)、「幸せは雲の上に」のところのコード進行はF➡C。

そして「幸せは空の上に」のところのコードはFm➡C。

ここに短調のコードをもってくることは、作曲者の中村八大氏に対し、「雰囲気が暗くなるからよくないんじゃないの?」という声もあったそうだ。

そこを氏が「いや、これでいいんだ!」と押し通し、F➡C➡Fm➡Cになっているのだが、私はここが小さいときから大好きだった。

子ども心に「わぁ、一味違う!」と思ったものだ。

ところが、私の好きなピアニストのビージー・アデール(Beegie Adair 1937-2022)には、ここをF➡C➡F➡Cで弾いたテイクがあるのだ。

ビージー・アデールは2010年ころ、シナトラやナット・キング・コールのスタンダードを集めたアルバムが日本でも爆発的なヒットを記録し、その縁でか、「スィート・メモリーズ」や「いい日旅立ち」などの日本のヒット曲もレコーディングしている。

「上を向いて歩こう」は先にも書いたように、アメリカでもヒットしたからビージー・アデールも当然昔からご存じだったと思うが、ずっとメジャーコードで通すのは彼女の好みなのか。

 

あと、彼女の「上を向いて歩こう」を聞いているとどうしても違和感を感じてしまうところがあった。

「思い出す春の日」はオリジナルでは「ドドドラレ レーレミー🎵」だと思う。

ところが彼女は「ドドドラレ レレレミー🎵」と弾いている。

このドとシの違いが、オリジナルを聞きなれた耳にはどうしてもひっかかる。

なぜ彼女はレレレシミーと弾いたのか?

たぶんジャズでの定型コード進行であるBΦ➡E7を左手が弾いているうちに右手もBΦの構成音であるシを弾いてしまったのではないか、というのが私の仮定。

 

ジャズやポップスではオリジナルメロディーに一語一句準じなければならないという法則はないので、別にどう弾こうと勝手なのだ。

しかしあまりに耳に慣れたメロディーを自分の好みとは違う風にフェイク、あるいはリハーモナイズされると、「うーん」と唸りたくなるのだ。

 

ビージー・アデールのピアノで「上を向いて歩こう」

話は変わるが、私たちのジャズ教室では師の好みで1930-40年代のスタンダードナンバーをやることが多い。

多くはシナトラやナット・キング・コールのヒット曲である。

だいたいは知っているのだが、それでも知らない曲もあり、そういうときはずいぶんいい加減に弾いている。

これって骨の髄からのシナトラファンにすると、「そこそこ、ちゃうねん!」というのも多いだろうな。

いやぁ、ほんまはこの曲よう知らんのですわ。

すみません。

それではフェイクやリハモはしているけれど歌っているビージー・アデールのピアノで「上を向いて歩こう」をどうぞ!

 

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