
フランス語でジャズを勉強するのは難しかった
教師でもない私が言うのもなんだが、語学上達の近道は自分の好きな、あるいは興味のもっている分野をターゲットとする言語で勉強することだと思う。
例えば、イタリア語学習者で歴史好きであれば、ローマ帝国の盛衰に関する歴史書をイタリア語で読むとか。
サッカー好きでスペイン語学習者なら、レアル・マドリードの試合の実況中継をスペイン語で聴くとか。
で、私の趣味はジャズとフランス語なんだけれども、このふたつはあまりよい組み合わせではない。
たしかに60年代には多くのアメリカ黒人のジャズメンがフランスに渡り、非常に聴衆からは受けたのだけれども、ジャズはなんといっても、発祥の地はアフリカ、発展したのはアメリカ=英語である。
フォーレやドビュッシーといったフランス近代音楽を得意とするクラシックピアニストは多いけれど、わざわざミシェル・ルグランやミシェル・ペトルチアーニをフランス語で勉強したいというひとはいないだろう。
というわけで、ほぼ諦めかけていたのだが、偶然、ほんとに偶然、フランス人ジャズピアニストの教育的動画をYouTubeで見つけて狂喜した。
ご興味のある読者さんっているのかなぁと思いつつ、自分の備忘録として書いておきたい。
Antoine Hervéさんはすぐれたジャズピアニストで作曲家で教育家
そのピアニストさんとはAntoine Hervéさんである。
決まった日本語表記がないようだが、アントワーヌ・エルヴェとしておこう。
エルヴェさんは、パリ国立高等音楽院で学び、1985年にはジャンゴ・ラインハルト賞を受賞、フランスのジャズオーケストラの監督も務めた正統派のジャズピアニスト兼作曲家である。
そしてまぁ、人相がいいのだ。
フランス語も明瞭で聞き取りやすい。
使う語彙も品があって、文学的でさえある。
だからもしジャズに興味があまりないかたでも、感情や情緒についてのフランス語の語彙を身につけたいと思えば、結構役にたつのではないかと思う。
フランス語の音楽用語は何も知らなかったことを知った
しかし私はかなり理解に手間取った。
というのは日本のジャズ学習者は英語表記になれている。
クラシックではド・レ・ミを使うことがふつうだが、ジャズではABCDEFGである。
だからエレヴェさんがSi diése(シ#)、 Ré bémol(レb)、 Do dièse(ド#)とか言うたびにおろおろして、いったん再生を止め、自分のピアノで音を確かめねばならなかった。
あと、bécarre(ナチュラル)というのも知らなかった。
移調するは、transporter というのも初めて知った。
要するにこれだけ長い間、フランス語を習ってきても、フランス語の音楽用語は何も知らないということに気が付いたのだ!
エルヴェさんのチャンネルは「Antoine Hervé Official」
これからは毎日、1個はエルヴェさんの動画をみて習いたいと思う。
実用的なことはあまりおっしゃらず、抽象的な説明が多いのだが、ひとつだけ英語でいうリック(lick)、フランス語では un plan, un cliché を説明しているところを、楽譜に書いてみた。
どうも私は弾いているのをみるより、楽譜に書かれているのを読むのが早いので。
以下。
左手はAのコード、右手はII度メロディックマイナースケールを弾いている。
