リリー・フランキーさんの自伝であることは知っていたが
映画「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン」がリリー・フランキーさんの自伝的小説をもとにしたものであることは、ずいぶん前から知っていた。
しかしだいたい私は、リリー・フランキーさんの名前を覚えるまでに、ずいぶん時間がかかってしまっていたのだ。
なぜかというと、私にとってフランキーといえば、コメディアンでジャズドラマーの、フランキー堺さんしかアタマになかったせいである。
そして是枝監督の「そして父になる」と「万引き家族」に出演のリリー・フランキーさんをみたときはどうもピンとこなかった。
どうしてこの俳優さんが世間で絶賛されているのか、とクビをかしげたものだった。
しかし、山田洋次監督の「キネマの神様」で映画監督を演じている彼をみて、オーラがかかっているように見え、すごい!と思った。
それでやっと映画「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン」も見ることになったのだ。
ちょっと遅すぎたみたいだったけれど。
三池炭鉱と炭坑節の思い出
Wikiでは、リリー・フランキーさんは小倉の生まれで、のち現在の福岡県若宮市で中学まで過ごされた、とある。
そして映画のなかでは石炭の山や「閉山反対!」の立て看板がさかんに見られるが、これは1997年に閉山した三池炭鉱のことではないのか?
地図をみると小倉と三池はずいぶん離れているので、九州の地理に疎い私は混乱してしまった。
しかし、まあいい。
映画ではしきりに「炭坑節」が流れ、お盆でもなかったようだけれど、炭坑節にあわせて踊る地域の人たちの姿もあった。
これをみた夫ちゃんは、盆踊り好きにもかかわらず、
「盆踊りの曲ってみんな同じに聞こえるけど、歌詞は違うの?」
あったりまえやん!
炭坑節は「月がでたでた、月がでた ヨイヨイ」だし、
ソーラン節は「ヤーレン、ソーラン、ソーラン」だし、
東京音頭は「踊り踊るなら、ちょいと東京音頭」に決まっている。
しかし、私には炭坑節がことのほか、懐かしい。
なぜかというと、1965年に夏の甲子園で三池工業高校が初出場・初優勝を果たしたとき、日本中にブームがおき、みんなが炭坑節を歌っていたようなものだ。
下は「三橋で明け、三橋で暮れる」とまで言われた人気歌手、三橋美智也さんの炭坑節。
ザ・ピーナッツの「キサス・キサス」が聞けた!
私は映画中のある場面をもう一度みたくて、ずいぶんYouTubeを探したが、見つからなかった。
それは若いころのオカンとオトンがダンスホールでルンバを踊るシーン。
オカンを演じているのは樹木希林の娘、内田也哉子とオトンは小林薫である。
そして歌は不世出のデュオ、ザ・ピーナッツが歌うラテンナンバー、「キサス・キサス」
私はもう、ザ・ピーナッツが子どもの頃から大好きなのだ!
今でもあんなにうまい歌手はいないと思っている。
映画中で、樹木希林演じるオカンが、
「昔はダンスホールでよく踊ったのよ~ オトンともそこで知り合った」
というのだが、これは多分同年代だった私の母のハナシともだぶる。
私の母も若いころは、ダンスホールで踊ったそうだ。
ただし父とであったのがダンスホールだった、ではないと思う。
だって父とダンスホールなんて、考えただけで吹き出してしまうもん。
結局、これはどんな映画かというと
えーと、この映画の主題歌は福山雅治さんが歌っているそうだが、すみません、印象に残っていない。
あと、この映画がどんな映画かを知りたくてアクセスしたかたにも、申し訳ない。
自分の思い出ばっかり書いてしまって。
でもこの映画の本質は、フランキーさんが語る、昭和と言う時代とオカンとオトンの思い出話なのだはないか。
素直にいい映画だったと思う。
特に昭和生まれのかたには評価が高いと思うのだが。