「プーさん」と「パディントン」の違い
恥ずかしながら、私はどうやら「くまのプーさん」と「くまのパディントン」を混同していたようだ。
どうしてこんなことが起こったのだろう?
「くまのプーさん」が石井桃子さんの翻訳で、岩波書店から出版されたのはいつだろう?と調べてみたが、どうもはっきりしない。
でもうちには「くまのプーさん」「プー横丁にたった家」もあったから、おそらく1960年代にはすでに日本でよく知られていたのだと思う。
それで子どもの私が、このプーさんを特に好んだかというと、そうでもない。
いま読めばまた違った感想をもつかもしれないが、その頃の私には、田舎で繰り広げられるプーさんの生活は単調で魅力にとぼしかった。
覚えているのは、プーさんがハチミツ好きということくらいか?
大人も楽しめるファミリー映画「パディントン」
きょうは何か映画を観たいなぁ、と思ったけれどもシリアスにモノを考えるようなドラマは遠慮したかったので、前から録画してとっておいた「パディントン」(原題:Paddington)を観ることにした。
これは大正解だった!
この実写映画は、子供向けのファミリー映画ということになっているが、大人でも充分楽しめる。
ロンドンというか、イギリス好きなひとには特に喜ばれるだろう。
雨に関する表現が100以上もあるイギリス。
生活のなかでお茶=ティーが欠かせないイギリス。
会話はまず、あたりさわりのないお天気の話から、というイギリス。
(このへんも日本と似ていないか? 「お元気ですか」よりも「きょうはいい天気ですね」のほうが、ぴったりくると思う。
イギリス出身の俳優さんがイギリスらしさを倍増
この映画はほとんどすべてイギリス出身の俳優さんで固められているせいか(ニコール・キッドマンは違うが)、ハリウッド映画と違い、イギリスらしさに溢れていて、私にはとても好感が持てる。
そしてこの映画の重要人物、お父さん役のブラウン氏はヒュー・ボネヴィルが演じているのだ!
そう、「ダウントン・アビー」でグランサム伯爵を演じた俳優さんである。
2014年といえば「ダウントン・アビー」の撮影で多忙だったと思うのだが、この映画にも出演して女装場面もあり、コメディアンとしてまた違った顔を見せてくれている。
ロンドンでマーマレードのサンドウィッチが食べたい
ペルーから船に乗り、ロンドンで自分の家が持ちたいとパディントン駅に降り立ったクマのパディントン。
人間でも新しい場所で、自分の居場所を見つけるのは容易ではないが、ましてやクマにとってそれは至難の業である。
ブラウン一家に一時、身を寄せることができたものの、いつまで居候できるかはわからない。
おまけにすったもんだの事件のあげく、命さえあやぶまれる場面に追い込まれるパディントンだが、そこはハッピーエンド。
晴れてブラウン一家の一員となり、ブラウン一家の家が彼の「ホーム」となるのだ。
そしてブラウン氏が締めるきわめつけの発言。
「ロンドンはどんな民族や種族でも、人間でもクマでも受け入れてくれる寛大な社会なんだ!」
おっと、そこまで大見得を切っていいのか?
そこまでロンドン讃歌を謳いあげていいのか?
まぁ、現実の難しいことはいわず、パディントンの可愛らしさに免じていいとしよう。
それにしてもロンドンへ行って、マーマレードのサンドウィッチが食べたくなってきたなぁ。
この映画をみると。