夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

大腸がんで逝った中村紘子さんとは比べ物にならない

中村紘子氏(1944-2016)

ピアノが弾けなかったコロナ期間

コロナで苦しんでいた約2週間、ピアノはほとんど、というかまったく弾かなかった。

たしか発熱の最初の2、3日間は、がんばってなんとか弾こうとした。

多分、それはまだ今までの体力が残っていたせいだと思う。

ところが何も食べられなくなってから数日たつと、余剰の体力もまったくなくなり、

「ピアノなんかどうでもええわ」

というか、ピアノの前に座る気力さえなくなったのだ。

たかがコロナで・・・である。

ここで私が再三思い出したのが、2016年に72歳という若さでがんで逝った、ピアニスト中村紘子さんのことである。

中村紘子さんのピアノ愛はがんに負けない

www.nikkei.com

上記の記事にもあるように、中村紘子さんはみずからが大腸がんであることを公表していた。

そればかりか、

(引用始め)2014年2月の手術では、がんはすべて取り切れず、治らないことを自覚しながら様々な治療を受け、その副作用に悩まされながらも、「がんが治っても、ピアノが弾けなくなるのは困る」と、天職であるピアノ演奏を継続していた。(引用終わり)

らしいのだ。

がん治療の副作用ってこわいんでしょ~

痛いんでしょ~

苦しいんでしょ~

そのなかでもピアノを弾き続けるなんて、私には考えられない精神力である。

と同時に、これまではピアノ一筋で生きてきたのだから、(病を得たこれからは)ちょっと違う人生を送ってみたい、という発想はまるでなかったのだろうか、と疑問も残る。

やはり天才の考えることは凡人とはまるで違う、と言わざるを得ない。

キャサリン妃の長い髪よ、永遠に

同時に先日、がんを公表したばかりのイギリスのキャサリン妃のことも思い出した。

最近はまったくニュースを追っていないのでわからないのだが、がん治療のため、妃のみごとな長い髪が失われるようなことがあったらどうしよう、と心配したのである。

しかしあの長い髪は治療中はさぞかし邪魔になるだろう。

でも下々の者とは違って、妃の場合、毎日シャンプー、ドライヤーで乾かしてくれるひとがいるだろうから、邪魔とは感じないのかもしれない。

いやそれでもなぁ、と実にしょうもないことを堂々巡りのように考えていたものだ。

ゆっくりと休憩だらけのピアノ再開

ようやくモノが食べられるようになった2週間後、やっとすこしピアノを弾いてみようかな、という気持ちになってきた。

本当は衰えた指の筋力を取り戻すために、ハノンなどの基礎練習をやったほうがいいのかもしれないが、残念ながら今はそれも耳が受け付けない。

食べられなくなって弱った胃腸とおなじく、耳も許容範囲が一段と狭くなってきているようで、美しい旋律しか聞きたくないのだ。

それで弾きなれたバッハの曲を、ゆっくり~ゆっくり~片手ずつ弾いている。

そして10分弾けば休憩。

これを5回くらい繰り返せばもうへとへと。

体力が戻るのって、ずいぶん時間がかかるらしい。