夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

映画「ジュディ 虹の彼方に」で圧巻の演技と歌唱を披露するレネー・ゼルウィガー

2019年のアメリカ映画「ジュディ 虹の彼方に」

映画「ジュディ 虹の彼方に」(原題:Judy)

もし、この映画を何の予備知識もなく見ていたら、私はこの主演女優が「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズで、ちょっと太めで音痴のブリジットを演じたレネー・ゼルウィガーと気がついただろうか?

それほどあの明るくずっこけたブリジットの影は微塵もなく、かつての名声と人気は影を潜め、酒と薬に依存する孤独な歌手、ジュディ・ガーランドをパーフェクトに演じきったレネー・ゼルウィガーは凄すぎる。アカデミー主演女優賞の受賞は当然でしょう。おまけに映画で歌われた曲も彼女自身が歌っている。これもなかなかの出来栄えである。

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驚異的な人気子役、ジュディ・ガーランド

映画は40代となったかつての人気子役、ジュディ・ガーランドが主役。今だったら子どもの人権を無視した劣悪な労働環境や、セクハラの噂が絶えなかった映画プロデューサーを訴えることもできるかもしれない。しかし1940-1950年代のハリウッドでは、子どもスターは会社のいいなりになるしかなかったようだ。映画では彼女の子ども時代の記憶がトラウマのようにフラッシュバックする。

一方なぜか私は、ジュディ・ガーランドが歌う「虹のかなた」は聞いたことがなかったので、YouTubeで探してみた。なるほどね、その天性の歌声は、たとえは古いが、子ども時代の美空ひばりと重なるものがある。そして大きな目は娘のライザ・ミネリにそっくりである(いや、ライザ・ミネリがお母さん似ということだね)

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スキャンダラスな後半生を送ったジュディ・ガーランド

成人してからのジュディ・ガーランドは、遅刻癖・飲酒・繰り返す結婚と離婚のスキャンダルから金銭的にもひっ迫する。晩年は子どもたちと離れ離れになりながらもロンドンでショーに出演するも、客とのトラブルから降板し、その半年後、1969年47歳の若さで亡くなっている。

ロンドンでショーに出演する彼女は飲酒癖と気持ちのアップダウンが激しいため(鬱病?)、時間どおりにステージにスタンバイすることさえままならない。彼女のマネージャー、バンドのピアニストたちはなんとか彼女にステージをつとめさせようと最大限の気を使い、努力はしているのだけれど。

それでもひとたびスポットライトを浴びて、満員の観客に迎えられ、マイクを握れば彼女は歌手以外の何物でもない。歌うことが人生だし、自分のためだけでなく、歌を聴いてもらうことが彼女の人生なのだ。

ジャズシンガーとしてのジュディ・ガーランド

晩年のショーではジュディ・ガーランドはジャズのスタンダードをよく歌っていたようだ。下の動画では、映画中でレネー・ゼルウィガーも歌っていた「Come rain or come shine」を歌う本家本元のジュディ・ガーランド。さすが、である。レネー・ゼルウィガーもよく健闘しているが、やはり遠く及ばない。そして驚いたことに、ジュディ・ガーランドのよく伸びる声は、雪村いずみさんにそっくりである(年配者しか知らないだろう、ごめんなさい)。いや、これも雪村いずみさんがジュディ・ガーランドに影響されたのかもしれない。

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子役はあとが大変そうだ

昔に比べたら子役と呼ばれる子どもたちの権利も保証されるようになっていると信じたいが、それでも若いうちから忙しすぎる生活、スターとしてプライベートのない生活を送るとあとの人生が大変そうである。

エリザベス・テイラーしかり、マイケル・ジャクソンしかり。子ども時代はいくら才能があっても、ゆっくり、のびのびといろいろなことをしながら過ごすのがいいのではないかと思うのだが、どうだろうか。