なぜ「細雪」の世界に憧れるのか?
文豪、谷崎潤一郎の名作「細雪」は単行本にして900ページを超える大作であるが、私はこれを3度ほど通読している。
映画に至っては1959年のものと(高峰秀子が出演)1983年のもの(吉永小百合、石坂浩二などが出演)と両方観ているからちょっとした細雪通かもしれない。
どうしてこんなに本や映画で細雪の世界に浸りたいのか?
それはやっぱり戦前のお金持ち美人四姉妹の、華やかな暮らしぶりに憧れる気持ちがあるだろうし、舞台となる芦屋や神戸の町名は知っているところばかりだから、親近感があるせいだろう(知らない方なら大作を読み通すのは辛いかも?)
ひょっとしてまったくご存じないかたにもイメージをもっていただくために、1983年の映画の予告編を貼っておく。
「細雪」のモデルとなった旧谷崎邸、通称「倚松庵」はJR住吉駅から歩いて10分ほど。土日に限り無料で公開されているが、なんと私はこれまで訪れたことがなかったのだ!
それを芦屋でのランチのあとやっと訪れることができたのだから、今や晴れて細雪通を名乗れるかもしれない。
洋間と食堂がメインの旧谷崎邸1階
ところで、旧谷崎邸「倚松庵」1階の間取りは下のようになっているらしい。
洋間から食堂をみたところ。
「細雪」では洋間にピアノを置いていたらしいが、どこに置いていたのだろう?スペースってなさそうだけど?
実際に使われていたものでなくても、ピアノを置いておいてほしかったなぁ~
1階にある風呂。ちっさーーーーい!
キッチンも狭い! 作業する女中さんは大変だっただろう。
あ、冷蔵庫や電子レンジは当時はありません、当然。
そして急こう配の階段をのぼって2階へ行く。
自宅階段で足を捻挫している私はこの階段の上り下りが本当に怖かった!
旧谷崎邸2階はお嬢様がたのお部屋
2階の間取り。
下は多分、幸子の部屋。庭への眺めは良さそうだ。
多分、悦子の部屋に並べられた時代を感じさせる鏡台や箪笥。
旧谷崎邸内部の感想
さてやっと内部までみることのできた旧谷崎邸の感想は、以下のようなものだった。
- ああ、昭和:当時の人たちは高齢になったらこんな急な階段を上り下りについて不安にならなかったのか?それより、足腰が弱くなる前に寿命がきていた?
- 意外に狭い!延べ床面積が148.92㎡なのだが、大人6人+女中1-2人がこの狭い家にいたら窒息しそう!でも案内してくださったかたは、「当時ではずいぶん大きな家でしょう」と言っておられた。ということは日本人が豊かになったせいで狭く感じるのか?それとも現代の私たちが大柄になったせいか?
なんだかこきおろしてばかりいるようだが、それでもタイムスリップして昭和11-18年に行ってきたようで非常に面白かった。
やはり日常の調度品をみると当時の人の生活がしのばれる。
それにしてもこんな古い木造の家、メンテナンスも大変だろう。
入館料無料でやっていけるのだろうか?
これはとても大事な文化財だから有料にしてもいいと思うのだが?
それとも無料を据え置いている神戸市は太っ腹というべきなのか?