夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ピアニストは移動ドにはこだわらない?かもしれない

アメリカの作曲家コール・ポーター(1891-1964)

師は移動ド派か、固定ド派か?

きょうのジャズピアノのレッスン。

スタジオにつくと、ニコニコ顔の師から(いつもニコニコしているが)、

「もうすぐアンサンブルやねぇ、がんばらなあかんねぇ」

と声を掛けられた。

「がんばってますよ、もちろん。黒本の歌物は全部、予習したし」

といいたいところだったが、それだけやっても結果が伴わないと元も子もないので、それはいわなかった。

ただ、

「初見が怖くて怖くて。どうしたらいいでしょうかねぇ」

とだけ言っておいた。

そしてふと、師は譜面を読むとき、移動ドで読むのか、固定ドで読むのか、訊いて見ても失礼にはあたらないだろう、と思いついた。

移動ド・固定ドよりもまず場数

それは次回のレッスンでの課題曲として、コール・ポーターの「I love you」のコード譜を渡されたときだった。

この曲はたまたま、先日予習したうちの1曲だったので、なんとなくアタマにはいっている。

私は言った。

「先生、これってキーはFですよね?

この譜面をポンと渡されたら、先生は移動ドで読みますか?固定ドで読みますか?」

すると師は、

「ピアニストは移動ドで読まへんやろ。だいたい。

えーと、これを移動ドで読むとすると・・・ソソーーーえっと・・・ラ?」

なんと私と似たようなスローな返答だったのだ!

 

続けて師は言う。

「あんなぁ。初見ゆうのは『場数』やねん。

場数を踏んだらできるようになるもんやねん。

僕なんか、駆け出しの頃、バンマスは『イントロは4小節!』ぐらいしかゆうてくれへんかったわ。

それで途中でキーもわからんようになってな。

歌手は『ヒェーーーー』みたいな声出すしな。

ようあれでおカネもらったなぁ、思うわ」

という昔話になってしまった。

コール・ポーターの天才ぶり

そうか、これからはもう、移動ドにこだわる必要はあまりないのかもしれない。

と私はアタマのなかで忙しく考えていたが、師の思考は「I love you」の作者であるコール・ポーターの天才ぶりに行ってしまっていた。

コール・ポーターアメリカの作曲家で、イェールとハーバードでも学んだ秀才。

彼の残したスタンダードナンバーは数多いが、現代の日本人にもなじみが深いのは、「ナイト・アンド・ディ」「あなたはしっかり私のもの」「ビギン・ザ・ビギン」「ラヴ・フォー・セール」といったところか。

師は興奮気味に続ける。

「これ、キーはFやのに、最初のコードはGやねんで! どう思う? 

ふつうありえへんやろ? それからドからbレに飛ぶねん。

長7度か? すごいな!」

なるほど、ドからbレは、ピアノならなんの苦労もなく飛べるが、ボーカリストは大変かもしれない。

コール・ポーターの伝記映画「五線紙のラブレター」

ところで、コール・ポーターの伝記映画があったのだが、私はまだ見ていない、ことを思い出した。

五線紙のラヴ・レター」(原題:De-Lovely)である。

なぜ見ていないか、というと機会がなかったのもさることながら、コール・ポーターはゲイだったので、夫ちゃんが「オ○○のハナシはもういい」と難色を示すからである。

でも彼の生きた20世紀前半は、私の好みの時代なので、配信の無料体験を利用して、絶対みようと思うのだ。

近いうちに! 私ひとりで!

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