
テンポの速い曲が好きなのに指が廻らない
私はテンポの速い曲が好きだ。
しかし他の人からいわせれば、私にはバラードとかゆったりしたボサノバが似合っているそうだ。
そういわれると、「ああ、そうかも」と思い当たることもあるが、内心「本当はめちゃテンポの速い曲が好きなのに」とがっかりする。
ともかくテンポが速く、踊れるようなダンサブルな曲がジャズでもクラシックでも好きで、そういうのをバリバリ弾けるようになりたいのだが、いかんせん指が廻らない。
これでも子どものときは面白いほど指が廻ったような記憶があるのだが。
今は♩=200 ぐらいの曲になると鍵盤上で指が転びそうで、半ベソになりながら弾いているありさま。
これらを少しでも克服するにはどうしたらいいのだろう?
指の練習にモーツァルトを思いつく
私がクラシックピアノのレッスンをとっているのは、技術の向上を願ってのことである。
しかし最近はクラシックピアノのテクニックの半分くらいはジャズには不要ではないかと思うことが多い。
特にクラシックピアノの先生が信奉する「バーナムピアノテクニック」は私には退屈で退屈で、もう、これ何とかならんものか、と思っている。
こんなことをずっとやるより、まだツェルニーやハノンのほうがましかも。
いや、やっぱりそれも退屈だしなぁ。
ではモシュコフスキーは?
あれは臨時記号が多いので譜読みが大変だ。
バッハも辛い。
時間をおくと、あるフレーズは右手で弾くのか左手で弾くか、さっぱり忘れてしまっている。
そこで、ふと思いついた。
モーツァルトの譜読みが比較的簡単なのを指の練習に使ってみたらどうだろう?
私は子ども時代、モーツァルトが嫌いだった。
なぜかというと、左手の八分音符のドソミソの繰り返しがたまらなく単調に思えたからである。
今はちょっと違う。
ドソミソにも風情があるように感じてきたのだ。
ようやく私にも炊き立ての白米の味がわかってきたのか?
それで指の練習用に私が選んだのは、下のモーツァルトのK545のように譜読みが簡単なもの。

これをできるだけ、できるだけ、美しく。
そして速く、速く、猛スピードで弾く自主練を始めたのだ。
すると練習を始めてから3~4日で手ごたえが感じられた。
アドリブが弾きやすくなったのだ。
今まではアタマに浮かんだアドリブメロディーを指に伝えるのに時間がかかっていたが、それが幾分か短縮されたように感じたのである。
クラシックとジャズでは円運動が異なるという説
きょうジャズ師の前で弾いたのは、文字通りテンポが速くてアップアップのJeepers Creepersだった。
1回弾くと、師が、
「お! きょうはなんかちゃうな!
タッチが違うな!」
と言った。
私は思わず、
「そうですか!? やっぱり!
実はこの頃モーツァルトに凝ってて・・・」
とK545を使った最近の練習方法を披露した。
それを聞いた師は「うぅぅん」と唸っていたが、敵もさるもの。
「モーツァルトで練習するのもいいかもしれないが、円運動が違うな」
と言い出した。
そして以下の、じつに理解しにくい図を書いて一生懸命説明してくれた。
従来のクラシックの弾き方だと、モーツァルトのフレーズは「タタタタ タタタタ」と、上から下への円運動になるそうである。

しかしジャズでは「シュビドゥバ シュビドゥバ」で下から上への円運動でなければならない。

いつものごとく、わかったようでよくわからない説明である。
そのわからなさに慣れっこになっているので、私は深くは追求しなかった。
つまり、私の言語に置き換えれば・・・
クラシックでは表拍にアクセントがくるが、ジャズでは裏拍にアクセントがくるように弾かなければならない、ということではないだろうか?
とりあえずはモーツァルトのK545を弾きながら、クチでは「シュビドゥバ シュビドゥバ」を猛スピードで唱えてみよう。
クチが勝つか?
指が勝つか?
この勝負。