
村上春樹流「もしタイムマシーンがあったなら」
きのうタイムスリップ映画「ある日どこかで」について書いたら、またタイムスリップ関係のことばかり考えるようになった。
そのひとつ。
村上春樹の旅行記に「ラオスにいったい何があるというですか?」というのがあるが、その第5章に「もしタイムマシーンがあったなら」がある。
以下、引用
もしタイムマシーンがあって、それを一度だけ好きに使っていいと言われたら、あなたはどんなことをしたいですか? きっといろんな希望があるんだろうな。でも、僕の答えはずいぶん前からはっきり決まっている。1954年のニューヨークに飛んで(基本的な愚かしい質問。タイムマシーンって飛ぶのだろうか?)、そこのジャズ・クラブでクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ五重奏団のライブを心ゆくまで聴いてみたい。それがとりあえず僕の望むことだ。
この文章を読んで以来、ときどき私ならどの時代に飛んでいきたいか、そして何をみたいか、と考えるのが愉しい。
実にばかばかしいと思いながら。
できたら歴史的瞬間に立ち会うとか?
でも源氏物語ができたのも、秀吉の天下統一も、明治維新の江戸城開城も、これといって決まった日付や場所がわからないから、ちょっと難しいなぁ。
自己催眠もかけられないし。
どうしたらいいのだろう?
早逝したクリフォード・ブラウン
とりあえず村上春樹が時空を超えて聞きたいと願うクリフォード・ブラウン=マックス・ローチ五重奏団の演奏を動画(これしかないんだよね!)で聴いてみよう。
曲目は「What is this thing called love」。
トランペットはもちろんクリフォード・ブラウンで、ピアノはリッチー・パウエル。
この2人はリッチーの妻が運転する車の事故で亡くなっている。
では村上春樹は、どうしてクリフォード・ブラウンなのだろう?
この五重奏団はきわめて質が高かったが、クリフォード・ブラウンが突然事故死したため、活動期間がきわめて短かったことで、わざわざ時空を超えて聴きに行く価値があるそうだ。
もちろんチャーリー・パーカーやビリー・ホリディーの演奏も聞きたいらしいが、彼らは麻薬常習者であったため、キャンセルもたびたびあり、せっかく未来からやってきたのに、彼らがとうとうステージに現れず、ビールだけ飲んで帰ってきたということになりかねない、とある。
反してクリフォード・ブラウンはこの時代のジャズメンにしては珍しく麻薬をやらず、クリーンで真面目、誠実で温厚。
ああ、いいひとって早く逝ってしまうんだね。
私ならソニー・クラークを聴きたい
クリフォード・ブラウンのトランペットはいいけれど、私はやっぱりピアノに興味がある。
ジャズでは特に。
ナマで聴きたいのはソニー・クラーク。
このひとのピアノを聴きたいと思えば1960年頃のニューヨークに飛んでいけばいいのだろうか。
それではソニー・クラークのピアノで「朝日のようにさわやかに」を。
彼のピアノは泣いているように聞こえる。
ウィントン・ケリーのライブは1966年のシアトル
次に私が聴きたいのは、ウィントン・ケリー。
下のライブ録音は1966年シアトルでのものらしい。
曲目は「There is no greater love」。
先日私もこれをセッションで弾いたけれど、比べるとまったく恥ずかしくなる。
問題は村上春樹はアメリカに住んでいたこともあり、英語ができて、当地のジャズバー事情に詳しいからいいだろうが、私はアメリカのジャズバーでの注文のしかたもわからない。
だいたい新宿のジャズバーでも「ノンアルコールビールはありますか?」と訊いてイヤな顔をされたくらいだから。
アメリカのジャズバーにはソフトドリンクのメニューなんかあるんだろうか?
そしてチップはどれくらい払えばいいのだろう?
タイムマシーンのうんぬんよりそちらのほうを考えてしまうなんて、私はちょっとアタマがおかしいのかもしれない。