「これから弾きたい曲」のリストを提出
新しいクラシックピアノの先生に指示されたので、「これから弾きたい曲」のリストを提出した。
ところで弾きたい曲と、弾けそうな曲はまったく違う。
まず、私は譜読みが苦手というよりも大嫌いだ。
自分のだす間違いだらけの音に、耳が耐えられないからだ。
なので譜読みで時間がかかりそうな曲はまず、やりたいとは思わない。
しかしそうすると、あまりにも曲が限られてくるので、好きではあるけれど絶対できそうにもない、ショパンの「アンダンテスピアナートと華麗なる大円舞曲」もリストにこっそり、いれておいた。
だがそうやって行を増やしても、バッハの曲が多い。
バッハが私のマイブームらしい
先生も私の「弾きたい曲リスト」をじっと見つめて、
「バッハが多いですね」
と言った。
ここで気心の知れた、例えばジャズピアノの先生相手だと、
「バッハッハ!」
なんていうおやじギャグを飛ばしたかもしれないが、知り合ってまもない先生にはそんなことは言えない。
「多分、子どものときにやっていないので、新鮮に感じるというのもあるかもしれません」
と言っておいた。
すると先生は、
「わかりました。
とりあえず、バッハがねむいさんのマイブームってことですよね!」
私はつねにマイブームを追いかけてきた
ところで「マイブーム」なることばはいつから始まったのだろうか?
調べてみると、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャンとして幅広い活動をしている、みうらじゅんさんが流行らせ、1997年の新語・流行語大賞を受賞したのがきっかけらしい。
しかしいいえて妙だなあ。
私なんかずっと、そのときどきのマイブームを追いかけて今日までやってきた。
ということは、世間様の流行とはまるで関係がないことに夢中になってきた、ということだ。
思い起こせば高校時代はビートルズ(すでに彼らは解散していたが)。
大学時代はジャズ(これは今でも多少の起伏はあっても続いている)。
ラテン音楽に凝って、サルサを習いに行ったりしたが、あまりに覚えが悪いので挫折。
クラシックで言えば、30代くらいのときは、これでもショパンに凝っていた。
その後、こちらは聴くほうだが、朝から晩までヴィヴァルディを聴いていたこともあった。
バッハを聴きたい、というよりも弾きたくなったのは、クラシックピアノのレッスンを再開する少し前くらいだから、5-6年前からだろう。
バロック時代のダンスミュージック
今、バッハフランス組曲2番アルマンドをやっているが、何回弾いても
「わぁ~ いい曲やなぁ」
としみじみ思う。
これはそもそも、バッハコンクールに弾く曲として、私のレベルでも弾けそうではないか、ということから選んだ曲だが、こんなに好きになれるとは思わなかった。
あんまり弾いていて楽しいので、次のクーラントにも手を伸ばし始めた。
すると、これもいい!
結局、今の私が好きなのは、バロック時代のダンスミュージックではないか、と思い当たった。
なぜかジャズと同じくらいノレるのだ。
それじゃ、舞踊曲はすべて気に入るのかというとそうでもなさそう。
ショパンのマズルカはショパンに凝っていた時さえ、好きになれなかった。
でもバロックのダンス曲はどれもいい。
アルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグ、ガヴォット、メヌエット・・・
これらがつまったフランス組曲をやっていると、もうシンフォニアには戻れないかもしれない・・・