夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ホンモノで良心価格のガレットに出会って感激する

コンプレ(チーズ・ハム・たまご)のガレット
(芦屋カーサ・ベリーニにて)

ステキなレストランに併設カフェがあった

私は食通ではないし、おつきあいの幅も狭いので、一流レストランに行く機会はほとんどない。

いつもバスの窓から見えるステキなお店にも、いつか行ける機会ってあるのか?

ここはクリスマスの時期には、建物自体がリボンでラッピングされているようで、すごく可愛いのだ。

いったいどうやって、リボンをかけるのだろう?(↓写真)

このレストランのメニューを調べてみると、ランチは3,900円からあるので、まあまあリーズナブルではあるが、ディナーは¥9,000-22,000するため、年金生活者には敷居が高い。

「寂しいなぁ。行くことってないやろなぁ」

とタメ息をついていたが、よぉくホームページをみると、併設されているカフェはそんなに値段は高くない。

おまけにそのカフェでは、そば粉のガレットが売り物らしい。

知らんかった!

そしたらわざわざ神戸の阪急六甲まで、食べに行くことないやん!

kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com

自宅で失敗を重ねたガレット作り

実は家では何回も、クレープというか、ガレット作りに挑戦している。

最初はそば粉なら、東西共通だろうと思い、信州のそば粉で作ってみた。

しかし生地がまとまらずモソモソの状態になって完全な失敗。

そこであるネット情報で、小麦粉を半量ぐらいいれたらよいというのを知り、試してみた。

結果は前よりはましだが、成功とはいいがたい。

次にはカルディで売っている、ガレットミックス粉を買って焼いてみた。

うーん。食べられるけど、本場のとはちがう。全然。

macaro-ni.jp

ホンモノのガレットはセットで良心的

私は外出嫌いの夫ちゃんに、

「ガレットが食べたい! 食べたい!」

と説き伏せて、「芦屋カーサベリーニ」へひっぱっていった。

驚いたことに、夫ちゃんはそのカフェも隣にある高級レストランも、「見たことがない」と言う。

バスでかならず通る道沿いにあるのに、いったい彼は何を見ているんだろう?

美女か? 高級車か?

bellini-ashiya.com

この茶色のガレットはそば粉が違うのか?

でてきたガレットは、神戸阪急六甲で食べたカジュアルなガレットより、一層フォーマルなガレットという感じだった。

そしてその色!

これ! これやねん!

全体に茶色くて(焦げているのではない)、パリパリとしっとりがうまくミックスされていて、そば粉が実に香ばしい。

これはもう、そば粉からして全然違うのだろう。

そしてコンロというか、器具も家庭用ではないよね、当然。

そして私たちが気にする値段であるが、ガレット本体は¥1,200-1,700。

セットにすると、ミニスープ、サラダ(ガレットの上に葉野菜が散らしてある)、デザート(苺のムース)、ドリンクがついて、プラス500円。

芦屋価格というよりも、良心的な価格に思えるのだが、どうだろう?

クアトロフォルマッジョのガレット

雨でも若い女性客でいっぱいだった

この日は一日中雨で、甲子園の高校野球も順延だったようだ。

天気のよい日にはワンちゃんをつれてここのテラス席でまったりしている人もいるが、きょうはそんなわけにはいかない。

雨に濡れたテラス席

しかしこんな雨の日でも、店内には若い女性グループが楽しそうにおしゃべりに興じていた。

反して、私たちは一日中顔をつきあわせているので、そんなに話すこともない。

彼女たちより遅くに入店し、パッパッと食べて、彼女たちより早く席を立つ。

ごめんね、愛想がなくて。

でもおいしかったし、今度はまた別のガレットを食べに必ず来ますから。

店内より外を見る

 

ハノンの訳者、平尾妙子さんのおかげです

ハノン「60の練習曲におるヴィルトゥオーゾ・ピアニスト」の前書き

ハノンの「前書き」には既視感があった

昨日の記事の続き。

ムッシュー先生には「60の練習曲におるヴィルトゥオーゾ・ピアニスト」の表紙のほか、「前書き」(Advertissement)も差し上げた。

差し上げる前に、この「前書き」の内容も知っておかねば、と思い、昔のタイプライターでの印字によくある読みにくいフォントであったものの、無理をして読み始めた。

すると、

「あれ、私、これ知ってる! 読んだことあるもん!」

なんとそれは全音から出版されているハノンに、今も収録されている「はじめに」(平尾妙子訳)の原本だったのだ!

ヤル気がでるハノンの「はじめに」

それは昨年、私が買いなおした全音のハノンにも収録されているが、私が初めて読んだのは小学生のときだから、1960年代から変わらず収録されているようだ。

実は私はハノンのなかで一番好きなのが、この「はじめに」なのだ。

なぜかというと、それは小学生にもわかる平易なことばで書かれていて(使われている漢字も少ない)、きわめてヤル気をださせてくれるものだったからだ。

現代でも、「これさえあれば合格できる!」とか、「基本の単語を500語覚えれば、英語はペラペラに!」といったハウツー本は人気があると思う。

なぜなら、「なにも考える必要はおまへん、XをY回やっただけで、効果ありまっせ!」と具体的に提示されれば、人間だれしも、行く手に光明が射したような気分になるからだ。

ハノンもそれと似たようなものではないだろうか?

これさえやれば、どんな難しい曲でも、ピアノをはじめて1年ぐらいのひとでも、上手になれまっせ~~と言っているのだから。

ハノンってピアノ教育家というより、営業マンなんやない?

ハノンの原文と平尾訳の違い

しかし原文の「前書き」は平尾訳のように、子どもにもわかるようには書かれていず、que 以下の接続詞、ce qui のあとダラダラ続く語句が多い。

まぁ、私の仏文読解力の問題かもしれないけど。

原文と平尾訳の違いは、特に中盤あたりが顕著となる。

例えば平尾訳では

  1. 指を動きやすくすること
  2. 指をそれぞれ独立させること
  3. 指の力をつけること
  4. つぶをそろえること

・・・とわかりやすいように、箇条書きになっているが、ハノンの語句を学校の仏文和訳調にすると、

「本書には、美しい演奏を実現するために不可欠な、敏捷性、独立性、強さ、指の完全な均等性、そして手首のしなやかさを身につけるために必要な練習曲が収録されている。 さらに、これらの練習曲は、右手と同様に左手も巧みになるように計算されている。」

ぐらいになると思うよ。

だから結局、平尾訳は超訳なのだ。

こんなに大胆な翻訳ができる平尾妙子さんってどんなかたなんだろう?

平尾妙子さんはパリ帰りのピアニストらしい

グーグルさんに聞いてみると、平尾妙子さんの訳は「バイエル」「ツェルニー100番」「子どものブルグミュラー」と多数あるようだ。

でも私はバイエルの訳って覚えていないなぁ。

でもこれだけピアノ教則本を訳しているとなると、音楽家なのだろうね。

その他、めだった記載はないが、偶然、平尾貴四男(1907-1953)という作曲家がいらっしゃったことがわかり、妻の名は平尾妙子(ピアニスト)とあるからひょっとしてこのかた?

1931年に夫妻でパリへ渡航とあるから、ほぼ間違いないんではないだろうか?

もっと多くのことを知りたいと思ったが、残念ながらウィキペディアだけがたよりの浅学者としては知りようもない。

思えば、私の子ども時代。

ハノンは退屈でたまらなかったけれど、平尾訳のハノンのことばを読むたびに、

「そうか~ 毎日これをやったら上手になるのか」

と勇気づけられた。

勇気づけられるだけでやらなかったのだから、効果なしとも言えるだろうが、少なくとも平尾訳のおかげで、私は「やりさえすれば、いつか上手になれる」という夢がみられたのだ。

まさしく今の私があるのも、平尾妙子さんのおかげではないか!

 

ハノンについてはムッシュー先生より少しだけ詳しかった

シャルル・ルイ・アノン(ハノン)の肖像

私がパリ万博について知っていたこと

先日のフランス語レッスンでは、エッフェル塔の建設に反対する人々の抗議文、およびそれに対する設計・建設者のエッフェルの反論記事を読んだ。

ところでそれまで私は、パリ万博がそんなに何回もあるとは知らなかった。

ムッシュー先生に、パリ万博について知っていることを聞かれたとき、私が知っていたのは、

だけだったのだ。

エッフェル塔よりハノンの銀賞

「え、それじゃエッフェル塔が抜けていますよ!

エッフェル塔の建設は、フランス革命100周年を記念した1889年のパリ万博の記念に作られたものですよ!」

「え?そうなんですか? 知りませんでした」

エッフェル塔、知ってますよね?」

「はい、1回登ったことがありますけど・・・」

でも詳しいことまで覚えていない。

どうも私の知識・関心事の範囲は非常に狭く、ムッシュー先生と建築論を戦わせられるレベルには至っていない。

そこで私は自分の土俵に持ち込むことに決め、

「パリ万博で私がいちばん印象に残っているのは、ピアノの練習曲集で知られるハノンが銀賞を受賞したことなんです。

でもそれが、エッフェル塔がお披露目された1889年より前なのか、後なのかは知りません。

だから今度調べておきますね!」

ピアノ独学者で初心者のムッシュー先生も、これには興味をひかれた様子だった。

「へぇー、あのハノン(先生の発音はアノン)はそんな昔からあるの?

知らなかったなぁ~

だいたい、フランスにいるときは全然、ハノンって聞いたこともなくってね。

日本に来てから知ったんだけど。 あれ、いいよね、指の練習になるよね!」

ところでムッシュー先生とウチの夫ちゃんだけをフランス人の総体とするのは、きわめて乱暴だと思うのだが、どうもハノン先生の知名度は、生まれ故郷のフランスより、日本でのほうが高いように思うのだが、気のせいだろうか?

1878年のハノン表紙に書かれていること

家に帰った私は自分の持っている資料のなかから、ハノンの1878年当時の表紙と、前書きにあたるものをコピーしておいた。

ひょっとしたら、ムッシュー先生の興味をひいて次回レッスン時の世間話のネタになるかもしれない、と思ったのだ。

まず以下の表紙。

表題は「Le Pianiste virtuoise en 60 exercies」(60の練習曲におるヴィルトゥオーゾ・ピアニスト」。

そしてまんなかあたりに

  1. l'Agilité (敏捷性) 
  2. l'Indépendance(独立) 
  3. la Force(

とある。

どうやらこの3つはハノンが掲げる3大目標みたいなものであるらしい。

 l'Indépendance(独立)と la Force(力)を日本語で理解する

私はただ世間話のネタに、と思っていただけだったのだが、予想に反して先生には大変興味をもっていただいたようで、

「これ、僕にくれるの?」

と言った。

「ええ。もし良ければ」

すると先生はメルシを連発し、大事そうに自分のクリアファイルにしまった。

よかった!

でもつくづく思うのは、日本語とフランス語の違いである。

フランス語では l'Indépendanceといっただけで、すぐ各指がその他の指につられないで独自に動けること、と想像できるのか?

私なんか 直訳の「独立」だけでは、国や親からの独立しか思い浮かばないけど。

それに  la Force(力)も誤解を生まないか?

これも説明がないと、思い切りピアノをぶったたくのがよし、と思われそうである。

ああ、やっぱりことばってむずかしい・・・

 

【演奏動画】なごり雪を40年ぶりに弾いてみた

2024年3月20日:季節外れの雪が舞う兵庫県南部

昼過ぎから雪が降りだした

きょう午前中は風は強かったが、すばらしく光に溢れたいい天気だった。

「これは散歩びよりだぁ~」

と思いながらクラシック中心にピアノを弾いていると、昼前ぐらいから雪が降りだした。

「『雪が降ってきた~ ほんの少しだけれど』という歌があったなぁ~」

と思い出し、YouTubeで検索し、それは「白い想い出」だったことがわかる。

それで、その昔懐かしい「白い想い出」をピアノで弾いてみようと思い立ったのだが、実際の雪のほうが、「ほんの少し」ではすまない雰囲気で降り出したのだ。

いつもは庭の向こうに、六甲山の連山の一部の緑が見えるのだが、きょうはすっかり雪景色になっている。

まるで冬が、

「ワシはまだまだ元気やで~ まだここにおるからなぁ、わかってるか!」

と叫びたげである。

なごり雪コード譜を見つけた

こういう「老いてますます盛ん」みたいな雪のことを、正式な言い方ではどういうのだろう?

ピアノの練習を中断してパソコンで調べてみたが、「春雪」「淡雪」みたいに上品なものしか見当たらない。

これに比べると「なごり雪」のほうがまだよさそうである。

ここで、

「そうや! 『なごり雪』を弾いてみようっと!」

と思い立ち、約40年前以上につくったコード譜のバインダーを探し出した。

あの頃はネットも「ぷりんと楽譜」もなかったから、自分で採譜するしかなく、コードも間違いだらけだと思うのだが、そんなの使えるのか?

ほぼ40年ぶりに、ざっと弾いてみたけど、E♭°とあるところはB7であるべきだね。

なんで当時はE♭°だと思ったのだろう?

そして肝心のメロディーは大丈夫なのだろうか?

伊勢正三さんのもう一つのビッグヒットについて

なごり雪」は1970年代、イルカさんの歌唱で大ヒットしたが、もとはと言えば、伊勢正三さんの作詞作曲である。

なごり雪」のほかでは、「22歳の別れ」というのが大ヒットしている。

が、私は「22歳の別れ」があまり好きではない。

歌としてはいい歌なのかもしれないが、歌詞が気に入らないのだ。

私の年代のかたならご存じかと思うが、「22歳の別れ」は、22歳である「私」が、17歳からつきあっていた彼氏と別れて、未練たらたらながら別の男と結婚するので、ごめんなさいね、という歌である。

「なんで22歳で結婚せなあかんねん!

あまりにも時代錯誤やわ! 童謡の『15でねえやは嫁に行き』と変わらへん!」

と聞くたびに腹立たしく思っていた。

だって今から40年前でも、22歳で結婚するのはちょっと早すぎたと思う。

今ならどうだろう? 32歳でもいいと思うのだが、未練たらたらであれば、それはどうにも気に食わない。

【演奏動画】耳コピなごり雪

「22歳の別れ」に比べると「なごり雪」はずっと気に入っているし、約40年ぶりに弾いて見て楽しかった。

外は雪。

でもおうちのなかは暖かい。

弾いていると春はもうすぐそこまで来ていて、私までもが「去年よりきれいになった」(そんなことあるわけないっしょ!)気がしたので、ウチのアップライトピアノで動画はアップしないつもりだったが、ちょっとした余興のつもりで・・・

youtu.be

ピアニストは移動ドにはこだわらない?かもしれない

アメリカの作曲家コール・ポーター(1891-1964)

師は移動ド派か、固定ド派か?

きょうのジャズピアノのレッスン。

スタジオにつくと、ニコニコ顔の師から(いつもニコニコしているが)、

「もうすぐアンサンブルやねぇ、がんばらなあかんねぇ」

と声を掛けられた。

「がんばってますよ、もちろん。黒本の歌物は全部、予習したし」

といいたいところだったが、それだけやっても結果が伴わないと元も子もないので、それはいわなかった。

ただ、

「初見が怖くて怖くて。どうしたらいいでしょうかねぇ」

とだけ言っておいた。

そしてふと、師は譜面を読むとき、移動ドで読むのか、固定ドで読むのか、訊いて見ても失礼にはあたらないだろう、と思いついた。

移動ド・固定ドよりもまず場数

それは次回のレッスンでの課題曲として、コール・ポーターの「I love you」のコード譜を渡されたときだった。

この曲はたまたま、先日予習したうちの1曲だったので、なんとなくアタマにはいっている。

私は言った。

「先生、これってキーはFですよね?

この譜面をポンと渡されたら、先生は移動ドで読みますか?固定ドで読みますか?」

すると師は、

「ピアニストは移動ドで読まへんやろ。だいたい。

えーと、これを移動ドで読むとすると・・・ソソーーーえっと・・・ラ?」

なんと私と似たようなスローな返答だったのだ!

 

続けて師は言う。

「あんなぁ。初見ゆうのは『場数』やねん。

場数を踏んだらできるようになるもんやねん。

僕なんか、駆け出しの頃、バンマスは『イントロは4小節!』ぐらいしかゆうてくれへんかったわ。

それで途中でキーもわからんようになってな。

歌手は『ヒェーーーー』みたいな声出すしな。

ようあれでおカネもらったなぁ、思うわ」

という昔話になってしまった。

コール・ポーターの天才ぶり

そうか、これからはもう、移動ドにこだわる必要はあまりないのかもしれない。

と私はアタマのなかで忙しく考えていたが、師の思考は「I love you」の作者であるコール・ポーターの天才ぶりに行ってしまっていた。

コール・ポーターアメリカの作曲家で、イェールとハーバードでも学んだ秀才。

彼の残したスタンダードナンバーは数多いが、現代の日本人にもなじみが深いのは、「ナイト・アンド・ディ」「あなたはしっかり私のもの」「ビギン・ザ・ビギン」「ラヴ・フォー・セール」といったところか。

師は興奮気味に続ける。

「これ、キーはFやのに、最初のコードはGやねんで! どう思う? 

ふつうありえへんやろ? それからドからbレに飛ぶねん。

長7度か? すごいな!」

なるほど、ドからbレは、ピアノならなんの苦労もなく飛べるが、ボーカリストは大変かもしれない。

コール・ポーターの伝記映画「五線紙のラブレター」

ところで、コール・ポーターの伝記映画があったのだが、私はまだ見ていない、ことを思い出した。

五線紙のラヴ・レター」(原題:De-Lovely)である。

なぜ見ていないか、というと機会がなかったのもさることながら、コール・ポーターはゲイだったので、夫ちゃんが「オ○○のハナシはもういい」と難色を示すからである。

でも彼の生きた20世紀前半は、私の好みの時代なので、配信の無料体験を利用して、絶対みようと思うのだ。

近いうちに! 私ひとりで!

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