夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

クラシックにもポップスにも使い倒されたショパンのプレリュード20番

ショパンプレリュード20番のお気に入り演奏

ショパンプレリュードについて、とめどもなく考えたことの続きだが、きょうは20番をとりあげたい。この曲、たった13小節しかない。けれどもフォルティシモからはじまって、ピアノ、ピアニシモと強弱変化がジェットコースターみたいな曲だ。

いろいろなピアニストが弾いている動画があるが、私は体重のかけ方がわかる以下の動画が気に入ったので、ご紹介したいと思う。2015年のショパンコンクール優勝者、ラファウ・ブレハッチ(Rafal Blechacz)である。

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ラフマニノフの「ショパンの主題による変奏曲」

このプレリュード20番をもとに、ラフマニノフが作曲したのが、「ショパンの主題による変奏曲」で、全部で22ヴァリエーションにもなる大曲である。下の動画は、カメラが手元に密着していることが多いので、とても参考になる。

ピアニストのダニール・トリフォノフは、この曲の前にすでにだいぶ弾いていたせいなのだろうが、髪の毛のさきに汗がつららのように垂れている。悪いがこちらはあまり見たいとは思わない。

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プレリュード20番はバリー・マニロウの「恋はマジック」になった

さあ、ここからはポップス編!

ショパンが生きていたら、なんというかしらん、と思ってしまうのだが、プレリュード20番をもとに、バリー・マニロウが1975年「恋はマジック」(原題:Could it be magic)というシングル盤をだした。一応、ビルボードでは6位まで順位をあげたので、立派なヒット曲である。

歌詞内容は、「Baby, I love you come come come into my arms...」といったもので、なんかちょっと軽すぎやしないか。まあ、ポップスだからいいんだけれど。

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日本では、なかにし礼が歌詞をつけてサーカスが歌った

さて日本ではバリー・マニロウの曲に作詞家のなかにし礼が詞をつけて「恋のマジック」とし、男女4人のユニットであるサーカスが歌った。まるでショパンの曲が又貸しされたみたいだ。

ところで、私はなかにし礼の小説のファンだから、別に文句は言わないが、このかたが詩をつけると、どんどん加速度的に原曲から離れていくみたいだ。つまり、あれれと言う間に「なかにし礼節」になっているのだ。

歌では、冒頭が女性の日記風になっていて、サビのところでは「Come Come 会いにきて!空を飛んで、私を抱きに来て!」と色っぽくなっている。1978年に発売されたそうだが、シングル「愛で殺したい」のB盤だったせいか、大ヒットまではいかなかったようだ。

しかしショパンクラシックポップスを問わずいろいろなミュージシャンに使い倒されているなぁ。著作権が切れているから使ってもいいのだろうけれど、生前これだけ人気だったら、もっとショパンにおカネがはいっただろうに。

ショパンは特に晩年、懐事情が良くなかったみたいで、お弟子さんで勝手に熱をあげられたスターリング嬢に、資金稼ぎのためにイングランドスコットランドまで引きまわされている。名声の点では不足はなかっただろうが、生きているあいだにもう少し、おカネがあったら精神的にも楽だったかもしれない。

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