聴講生として参加した「ツェルニー30番」の講座
きょう、クラシックピアノの先生のお誘いによる「ツェルニー30番弾き方相談室」に聴講生として参加した。
これは東京のさるエラい先生を講師としてお招きし、私たちの先生の生徒さんのうち、希望者何名かが生徒役になり、ツェルニー30番を教材として、弾き方の指導をしていただく公開レッスンのようなものだ。
好評のため、過去にすでに何回か開催しているようなのだが、なにせ私は新参者。
というか、年金生活者にはちょっと及び腰になる生徒役での参加料だったので、それよりも安い聴講生のほうを選んだのだった。
先生はよくないクセをチェックする
会場に着くと、生徒役はみなさん30代から50代くらいの、ピアノ歴もそうそうたる大人の女性。
東京のエラい先生は、たぶん私と同じ60代くらい?
あらかじめ経歴をネットで調べておいたが、私なんぞはふだんお声もかけられないほどのナントカ賞を受賞、ナントカ交響楽団と共演という目も眩むほどのご経歴である。
でも教え方はいたって気さく。ざっくばらんというか、生徒が一回弾いただけでどこに問題があるかを見抜く眼をおもちのようだ。
そしてツェルニーの、楽譜上の強弱がどうのこうの、音符がどうのこうのよりも、その生徒がかたよったクセのあるカラダの使い方をしていないかどうか、を的確にチェックされていた。
- あるかたは、膝を揃えてお行儀よく座っている。これはX。膝と膝のあいだは肩幅ぐらいに広げて座るのが良し(私はもともと行儀が悪いので、膝を揃えてピアノを弾いたことがない)。
- ある方は、音階が高音に向かうと、首を右にかしげるクセあり、これもX。
- 右手が高音部まで飛ぶとき、肘から右方向に移動する方がいるが、これもよろしからぬらしい。
- 指くぐりをするときは、手首を若干傾け、親指をコンパスの支点のように
- 自分にあった指使いを決め、一度決めたらそれで通す
ピアノの音はひとによって違う
こういうと、他人の欠点をあげつらっているように聞こえるかもしれないが、みなさん本当にお上手なのだよ。
ミスタッチなんてほとんどされない。
ここであらためてしみじみ思ったのだが、ピアノって楽譜に書かれている音符の音を押さえるのは当たり前。
どういう弾き方で(よい弾き方だとカラダの故障を防げる)、どういう音をだすかが大事なんだなぁーって!
同じ音でも弾く人によってピアノの音はまったく違う。
あるひとは硬質なガラスのような音。
あるひとは優しい頼りなげな音。
また別の人は柔らかすぎて芯がないような音。
そしてよい先生とは、名医と同じで、生徒(患者)がどこに問題を抱えているかを見抜き、それを正し、良い方向に導くことができる先生なんだね。
私も弾いて欠点を指摘されたかった!
約1時間半、先生と生徒のやり取りをただ後ろのほうに座ってみていたのだが、だんだん私は自分が弾きたくてたまらなくなってきた。
もぞもぞとお尻を動かし、私の先生が、
「お時間もあるようだし、聴講の方にも弾いていただきましょうか?」とか言わないかなぁ、と手ぐすねひいて待っていたといってもよい。
でも残念なことに、決められた生徒さんが弾くだけで時間はいっぱいいっぱいになってしまった。
私は最初から最後まで、壁の花(?)で終わってしまったのである。
たかだか(といっても私には大きいが)2000円をケチって聴講生にしたせいで、私は私の欠点をあぶりだしていただく機会を逃してしまったのだ。
失敗やった~
次回もあるなら、2000円はどこかで工面して、生徒役になりたいものだ。