バッハのパルティータ1番を人前で弾くという企み
5月下旬に足首を挫いて以来、残念ながらクラシックピアノのレッスンには行っていない。
しかしこの頃は毎日家でピアノを2時間ぐらい弾いているか。
というのもある企みがあるからなのだ。
その企みとは、バッハ パルティータ1番のプレリュードとアルマンドを仕上げて、この冬にピティナステップの展開1に挑戦、バッハコンクールに再挑戦することである。
2つのイベントに同じ曲を弾くのは、単に省エネ効果を狙ってなんだけどね。
あまり考えずにトリルを弾いていた
パルティータ1番プレリュードはトリル満載の曲で、初めて聞いたのは昨年のバッハコンクール地区大会でみごとな演奏をされた方がいたからである。
その演奏に刺激され、「われもまた試みん」と勢い込んだのであるが、最初に下調べをせず、いきなり譜読みを始めたのがまずかったらしい。
私は最初、直近でやったシンフォニアを思い出しながら、トリルについては全部記載してある音とその上の音を連続して弾いていた。
つまり冒頭のトリルをbシドbシ~と弾き、以降たびたび出てくるトリルも同じ要領で弾いていたのである。
そして「ああ、やっと譜読みが終わった」と安堵しつつ、シフのパルティータ1番の動画をBGMとしてではなく、真剣に見てビックリした。
あかん! ここのトリルはドbシドbシ~で弾いてはる!
念のため、他のピアニストも調べたが、例えばソロコフ、マリア・ジョアン・ピレシュも該当音の一つ上の音からトリルを弾いていることがわかったのだった。
1音増えただけで、成功率が低下するトリル
ひょっとして(1)bシドbシ~と弾くのも(2)ドbシドbシ~と弾くのも大して変わらん、と思われるかたもいるかもしれない。
しかし技術不足の私にとっては、(2)のように1音が増えただけで、トリルの成功率がまるで違ってくるのだ。
確率でいうと10回弾いたとき、3回ぐらいがぐちゃっと潰れたような汚い音になる。
左手はもっとうまくいかない。
しかし何回か練習して、「うん、これで完璧!」と思い、弾き始めたとする。
そういうときに限って、しょっぱなから「ぐちゃっ」という音になってしまい、アタマを抱えることも少なくない。
古典奏法では1つ上からのトリルが正解
ここでトリルについてもう一回詳しく調べようと思い、ピアニスト竹内俊平さんの動画を見た。
するとやはりバッハやモーツァルトのような古典を弾く場合、1つ上の音からトリルを演奏するのが正しいらしい。
そのほうが当時の貴族社会では上品に聞こえたらしいのである。
すんませんなぁ。上品やなくて・・・
バッハコンクール金賞受賞者は古典奏法ではなかった
ところが、またまた形勢が逆転しそうなことが起こった。
何年か前のバッハコンクールでパルティータ1番を弾き、金賞を受賞した高校生がいるのだ。
その動画を見たのだが、演奏はまことにしっかりとしていて素晴らしく、そしてトリルは古典奏法ではなかったのだ!
つまり彼女は終始、書いてある音とその1つ上の音をタララーと弾いていたのである。
バッハコンクールの金賞受賞者がこう弾いているのだったら、何も古典奏法にこだわることってないんちゃうの?
無理してフィギュアスケートみたいに〇回転を成功させなくても、ちゃんと着地できる〇回転でええんちゃうの?
かくして私の迷走はまだ続きそうなのである。
さて、もし私の先生に相談したら、何とおっしゃるだろう?