「ダウントン・アビー」に魅せられてはや10年以上
何をかくそう、私は2010年から2015年までテレビ放映された「ダウントン・アビー」のかなりのファンである。
シリーズは全作観ており、NHKで放映される前から夫にダウンロードを頼んで、まず英語版のみを見(日本語訳がついてないので仕方なく)、わからなかった部分は再度、あるいは再々度、NHKで字幕と共に観る、ということを繰り返してきた。
しかし本音を言うと、このシリーズが非常に面白かったのは、ヒロインともいえる貴族のクローリー家の長女メアリーが、マシューという中流階級出身の男性と結婚するところまでだったと思う。
それ以降は出演俳優が目まぐるしく交替したこともあり、ストーリーもあまりぱっとせず、映画版に至ってはほとんど印象に残っていない。
でもやっぱりダウントン・アビーは、戦前のイギリス貴族生活を垣間見せてくれる、私にとっては魅惑的な舞台設定なのだ。
女性たちの華麗な衣装、重厚感のある建築や内装・家具、高級で繊細な食器、気品ある物腰と話し方。そして20世紀の初頭というヨーロッパ激動の時代・・・
というわけでやっぱり2019年映画版の続編、「ダウントン・アビー/新たなる時代へ」
(Downton Abbey : A New Era)もやっぱり見てしまったよ、わくわくしながら。
意地悪な人たちはいなくなってしまった
テレビドラマの最初の頃は、登場人物たちの対立、軋轢が多数あったと思うのだが?
例えば
- クローリー家の長女メアリーは次女のイーディスとそりがあわなかった
- 新しくやってきた従僕のベイツはフットマンのトーマスからいじめられる
- トーマスはクローリー家の召使ほとんど全員を敵に回している
- クローリー家の嫁、コーラは姑のグランサム伯爵夫人からいびられる
などなど・・・
ところが、いつのまにかこんな意地悪戦争はなくなってしまった。
メアリーは伯爵家に嫁いだイーディスと信頼関係を築き、従僕のベイツは妻のアンナとともに召使たちのなかで欠かせない存在感を放ち、野心まんまんでイヤな奴だったトーマスも同性のパートナーと幸せになることが暗示されている。
そしてその毒舌っぷりで大いに笑わせてくれたグランサム伯爵夫人も、これ以上生きてはこの時代、長寿すぎるということでこうなったのか?ついに大往生を迎えるのだ。
これだけいいひとばかりでいいことばかりになると、もうこのシリーズは終わりを迎えるのか、という気がしてならない。
でも待てよ、設定ではたしか1928年だったよね。
ということは今後、第二次世界大戦前の緊張した政治情勢やら、ひっ迫した貴族たちの生活など、まだまだ私たちをハラハラさせる題材には事欠かないと思うのだが?
1920年代が感じられる歴史背景
今回の「ダウントンアビー/新たなる時代へ」では、伯爵家の財政状態を改善するため、メアリーの案で屋敷を映画のロケとして使わせることになっている。
そして伯爵家が迎えたのは、無声映画に出演する俳優たちなのだが、すでに無声映画はトーキーの興隆の前に人気に陰りがではじめ、俳優たちが失業する可能性を匂わせている。
ああ、いつの時代も新しいテクノロジーが人間の職業を変えていくんだね。
そして伯爵家のひとたちが興じるダンスは陽気で賑やかなチャールストン!
こんなところにも1920年代という時代が感じられて楽しい。
「ダウントン・アビー」のテーマ曲
ところで時代背景はかわっても、やっぱりこの素晴らしい名曲「ダウントン・アビー」のテーマ曲は健在である。
私はこれを聞くたび、ミステリアスでちょっと陰気なイギリスの貴族の館を想像してしまうのだ。
多分、少女の頃に「ジェーン・エア」とか「嵐が丘」に憧れたせいかもしれないが・・・