装飾音符は苦手で悩ましい
私が装飾音符、ざっくり言ってトリルが苦手なのは、このブログでよく記事にしている(と思う)。
苦手な理由のひとつは、まず軽やかな小鳥のさえずりのようなトリルを弾くことが技術的にむずかしいから。
特に利き手でない左手は、右手の3倍くらいのストレスを感じる。
もうひとつは、ピアニストによって弾き方も違うし、教える側の立場でもいろいろではないかと思うから、何となく腑におちないというのもある。
そしたら「どーでもええやん、好きに弾いたらええやん」
と私などは思うのだが、クラシックの分野ではいちおう、こうあるべき、というのが決まっていると思う。
バロック時代なら、現代のジャズみたいに、好きなところにいれたりいれなかったり、延々とこれでもかっというぐらいまで伸ばしたりできたのかもしれないが、令和の、しかも日本の学習現場ではそうはいかないでしょう?
それに楽譜の版によって、トリルの箇所もまちまちだし、もうコレ、ホンマに迷うわ。
「パルティータ1番 プレリュード」のトリルの弾き方
バッハコンクールで弾く「パルティータ1番 プレリュード」にはトリルが数か所でてくる。
自己流で練習して、あとで訂正されるのも大変なので、レッスンを始める前に、
「ここはどう弾けばいいでしょうか?
ファミファ なのか ソファソファ なのでしょうか?」
と先生にお伺いした。
すると先生は、
「今はみんな上から下へいくんですよね。
それが流行りなんですよね。
私が音大を受験したころは、下から上しか弾かなかったんですけどね」
と驚くべきお答えだった。
つまり40年前の弾き方では、指定音と2度下の音の繰り返しでファミファ、現代流では2度上から指定音への繰り返しでソファソファとなる(らしい)。
それで「いったい私はどう弾けばいいんでしょう」となったのだが、
結局、難易度の高い(音が1個多くなる)上から下は諦め、同じ記号のものは、指定音と2度下の音の繰り返しにする、と先生と取り決めた。
これは続けて弾くアルマンドも同じである。
でも、なんだかね~
昭和生まれだから昭和の弾き方で統一したみたいで、まったく自慢にならない。
リスクを避けて、指がコケるのを最大限に防御したまでなのだ。
以前ブログに書いたことと違う
しかしここで気になるのは、以前ブログに書いたことと違うことをやっている、ということだ。
今年6月の記事では、イタリア仕込みのピアニストさんの動画に感銘し、「今後はプリルトリラー(上の例)は、一つ上の音から始める!」と書いているんだね。
まったくいい加減なものだ。
ま、このブログのタイトルも「迷走記録」とあるからね。
素人の大人ピアノってこんなものだ、と思っていただいたほうが気が楽だ。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
モルデントの昭和的およびフランス的な弾き方
ところが、このプリルトリラーは下から弾く、つまり昭和的弾き方を解説している動画があった。
タイトルは「Comment jouer un mordant au piano?」(どうやってモルデントをピアノで弾くか?)である。
たまたま見つけたので、どういうキャリアのかたかよくわからないのだが、フランス語話者のかたである。
そしてこのかたの説明によると、「プリルトリラー」も「モルデント」なのだ。
例えば下のような例だと、彼は「ドレド」をtrès vite (めっちゃ早く)弾きなさい、と言っているのだな。
これだとイタリア仕込みのピアニストさんの言っていることと違う。
ひょっとして装飾音の弾き方もイタリア風とフランス風があるのか?(冗談です)。
いいかげん、この問題で悩むのは疲れてきた。
肝心なのは、どっちでもいいから鳥のさえずりのように軽く、澄んだ音で装飾音を弾くにはどうしたらいいのか?ということなんだけど。
この問題にご興味のあるかた、特にフランス語学習者のかたは下の動画をごらんくださいね!