「大人ピアノ」がブームで投げかけられた質問
「大人ピアノ」が密かなブームだという。
この場合、まったくのピアノ初心者である大人がピアノを弾こうとする、あるいは弾くために楽器を買ったり、レッスンを受けたりする活動、「ピアノ活」(こんな言葉はまだないよね?)が静かなるブームだというのだ。
で、下の記事である。
読んだ直後はなんだかあまりいい気持ちがしなかった。
登場されている「現役ピアニスト」さんは、至極まともなことを言っておられるのだが、それはさておき、この記者が投げかけている質問自体が、少々私の気にさわったのである。
かいつまんで言えば、ピアノ経験ゼロの大人が、
- 半年ないし1年程度、週1回約30分のレッスンという条件で、友人の結婚式でピアノ演奏はできるものなのだろうか?
- 1年間、週1回30分程度のレッスンを受ければ、ショパンの『革命』や『英雄ポロネーズ』、ベートーベンの『月光第3楽章』といった著名な楽曲が弾けるのか?
- ピアノが置かれているバーやクラブなどで意中の異性に聴かせる目的で、何か曲を披露することはできないものか?
ピアノ歴50年以上でも弾けない著名曲
1.についてはそりゃご友人次第だろう。
寛大な友情に溢れたご友人なら、どんな音を出してもOKだろうが、招待客のなかには「ひどいピアノを聞かされてエラい目にあった」というかたがでてくるかもしれない。
私が一番気に障ったのは2.であろう。
まったく自慢にならないが、ピアノ歴通算50年以上(半世紀!)になる私でも、「革命」も「英雄ポロネーズ」も「月光第3楽章」も弾けないのだ!
そりゃ私は才能もないばかりか、努力もしない怠け者ですよ!とひがむこと、ひがむこと・・・
でもよっぽどうまいアマチュアのかたか、プロでないと、こんな音数が多くテンポも速い曲は騒音でしかないだろう。
初心者には初心者に向いた、また、大人には大人に向いた、大人にしか弾けない曲があるのではないだろうか?
大人にふさわしいショパンの2曲
例えば、人気のショパンでいえば、「ワルツ第19番イ短調遺作」は哀愁に満ちたメロディーがとても美しいが、難易度は低い。
あるいはまたショパンの「プレリュード4番」。
短いし、トリルもないからこっちのほうが易しいかもしれない。
下で弾いているのは、私自身である(何十年やっててもこんなもんやねん、すんまへんなぁという気持ち)
意中のひとに聞かせたいサティの「ジュテュヴー」
3.の「意中の異性に聴かせる目的で、何か曲を披露することはできないものか?」はこれまでの私にはなかった発想である。
しかしたしか小室圭さんは、一連の騒動前、真子さまや紀子さまの前でピアノを弾き、お二人はその「やさしい音色に聞き惚れた」のではなかったっけ?
それからこれはちょっと違うが、中村紘子さんは結婚前、のちに夫となる庄司薫氏が自分の前でピアノを弾いた時、「このわたくしの前でピアノを弾くとは!」と、その大胆不敵さにかえって惚れ込んだ、と聞く。
となると、ピアノを介して異性にそれとなく気持ちを打ち明けるのに適した曲があるのか、というと?
あるある。
エリック・サティの「Je te veux」(ジュテュヴー/あなたが欲しい)である。
下の楽譜をみておわかりかと思うが、それほど難しくない。
「あら、ステキな曲なのね、なんていう曲?」
「タイトルはね、僕の気持ちそのものずばりだよ」
なーんてね!
どなたかぜひ試してみてはいかが?と思うのだ。