夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ショパン「華麗なる大ポロネーズ」の魅力が溢れた映画「世界で一番好きな人」

1995年のフランス映画「Dis-moi Oui」(邦題:世界で一番好きな人)

ショパン「華麗なる大ポロネーズ」に惹かれたきっかけ

先日私が一番憧れているクラシックピアノ曲はショパンの「アンダンテ・スピアナート華麗なる大ポロネーズ」で、そのきっかけは1995年のフランス映画「Dis-moi Oui」(邦題:世界で一番好きな人)を見たからだ、と書いた。

その後、この映画とショパンのこの曲がリンクする動画、あるいは記事を探したが、今のところまったく見つからない。なんで?このステキな映画(いくぶん少女漫画っぽいことは認めるが)のなかに、よりによって、ショパンのあのフレーズが使われているのがもう、たまらん!と思うのは私だけなのか? 自分の趣味はそんなにマイナーなのか、と自信をなくすのだが、「もうええわ、ほなら自分で書くわ!」ということにあいなった。

映画「世界で一番好きな人」とは?

まず映画のあらすじだけをざくっとご紹介。

大病院に勤める30歳のイケメン医師、ステファン(ジャン・ユーグ・アングラード)は女性にはまったく不自由せず、放埓な一人暮らしを送りながら、心のどこかに空しいものを抱えていた。そんなとき、エヴァと名乗る12歳の少女が彼のアパートに転がり込んできた。最初は真っ正直に彼への愛をぶつけてくるエヴァにとまどうステファン。

じつはエヴァはたぐいまれなピアノの才能をもっているのだが、難病に冒されおり、以前から通院する病院でステファンを見初めたのだった。かまってほしいエヴァはことあるごとにステファンに「Dis-oui Oui (ウィと言ってよ!)」と駄々をこねる。ステファンも年齢差を超えてエヴァに惹かれていくのだが、問題は彼女が未成年であることよりも、その難病だった・・・

予告編はYouTubeにあるので下に貼っておく。ショパンはともかく、ステファン役を演じたジャン・ユーグ・アングラードの魅力がわかっていただけることを願いつつ。

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映画中でショパンの「泣かせ」フレーズがでてくるところ

この映画のどこでショパンの曲がでてくるかというと、まず少女エヴァがステファンのアパートに転がり込んできた翌朝、ステファンが寝ている間、エヴァは彼のためにショコラを用意し、「アンダンテ・スピアナート」部分をピアノで奏でる。目覚めたステファンは彼女のピアノの腕前に驚くが、エヴァが「これ、むずかしいのよ。私、手が小さいから」という場面。

そしてことあるごとにでてくるのが、ポロネーズ中にでてくる、下の「ソーbミファソド ドbシbシラシー」というメロディーだ。これがなんともいえずこの映画での、少女の一途な恋心、思春期の危うさ、大人になりきれない哀しみを表現していると思う。

 

下の動画は小林愛実さんの力演で、8:39 あたりからこの切ないメロディーがでてくる。

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そして最後。ピアニストとして成功したエヴァがスペインでのオーケストラを従えてのリサイタルで弾くのは、もちろん「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」だ。

しかしひとつケチをつけるとすれば、成人してからのエヴァ役になった女優は、思春期時代のエヴァと容姿も雰囲気もまったく違う。これには本当にガッカリした。

「長い春の果てに」というタイトルで宝塚で上演

今回このブログ記事を書くにあたって調べてわかったことなのだが、この「世界で一番好きな人」をモチーフにしたミュージカルを、宝塚歌劇団が、「長い春の果てに」というタイトルで過去に上演している。

さすが宝塚!わたしは宝塚ファンではないが、乙女心を刺激しそうな主題がよくわかっていらっしゃるなぁと感じた。となると、この映画がアマゾンプライムやネットフリックスなどのサブスクリプションで扱われていないのが残念だ。やっぱりフランス映画というのは世間ではマイナーな存在らしい。

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