夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ジプシー・キングスのマイ・ウェイなら聴いてもいい

歌うマダムとピアノ伴奏のリハーサル見学

どうもブログが時系列で書けないのだが、先日のカルチャーセンター発表会での出来事。

早めに会場に到着していた私はすることもなかったので、私のジャズピアノの先生とマイ・ウェイを歌うことになっている女性とのリハーサルを見学することになった。

その女性はシャンソン歌手をイメージさせる、黒にラメのはいったロングドレスをお召しになっていた。

ドレスはデコルテなのだが、ボレロを羽織っておられ、胸元にはコサージュも添えられている。

年齢は?

最近はみなさん本当にお若くて、奇麗にしていらっしゃるからよくわからない。

ただ髪がグレイヘアなので、熟年とは思われる、お美しいマダムであった。

そのマダムに、先生はまず、

「えーと、マイ・ウェイやったよね。キーは何?」

と聞かれた。

え、先生、情報として聞いているのは曲名だけで、キーは聞いていないのだ!

さすがプロ!と思った。

私なら曲名とキーはセットにしてあらかじめ伝えてもらえないと、とても歌伴はできない。

女性は「F」と答え、さらに

「最後にセリフを言うので、その前にちょっとrit をかけてほしい」

先生は「セリフ?」と驚いた様子だったが、すぐ「ええよ」と言われた。

どんな風なマイ・ウェイになるのだろう?と私は訝しく思ったが、彼女のマイ・ウェイは英語で歌う、まさに激情型の劇場スタイルでひょっとして元タカラジェンヌではないか、と思ったぐらいだった。

そして最後、フォルティッシモで終わった後、呟くように言ったその英語のせりふは、「It's my way ・・・ホニャラララ」で、残念ながら聞き取れなかった・・・

マイ・ウェイを歌うマダムの表現力が圧巻

さて本番。

同じピアノの先生に習っている友人と、前のほうの客席にいた私は、そのマダムの表現力に度肝を抜かれた。

腕を大きく振り上げたと思えば、顔を斜めにそむけ、まるで泣いているかのよう。

かと思えば忽然とこうべをあげ、誓いのことばをのべるかのようなことばの嵐・・・

そこであろうことか、隣に座っていた友人が私にこう聞いた。

「これ、何語なん? 英語やないよね?」

私はもう、歌っているマダムに感づかれはしないかと、ひやひやしながら、

「え・い・ご」

彼女は聞き取れなかったらしく、

「え?」

あぁ、久しぶりにハラハラした。

しかし先生のピアノは見事だった。

いっさい手元はみず、彼女の顔をまっすぐに見ながら臨機応変に、華麗なアルペジオの連発、連続である。

あとで聞いたところ、会場のピアノのスタンウェイが鳴らないピアノだったので、とにかく音を出すことに集中したとのこと。

「うるさなかったか?」

と私たちに聞くので、

「いーえ、全然。勉強になりました」

だって本当だもの。

そしてセリフ入りのマイ・ウェイは先生も初めてだったと言っていた。

「誰かそういうふうに歌ってるのがおるんやろな。

そら、ひとりでは考えつかんやろ」

ふーん、そしたらプロ歌手の誰がそんな風に歌っているのだろう?

セリフありのマイ・ウェイを求めてYouTubeを放浪

好奇心に駆られた私はマイ・ウェイを歌っているフランク・シナトラポール・アンカフリオ・イグレシアスなどを聴いて見た。

特に1980年代に熟年マダムに絶大な人気を誇ったフリオ・イグレシアスについては、あのエレガントなマダムなら絶対に好みなはず、と目星をつけた。

しかし彼が歌っているので見つかったのはスペイン語版だけで、英語はみつからなかった。

かろうじてシナトラが歌っているヴァージョンで、フォルテッシモの「MY WAY !!!」が終わった後、メゾピアノぐらいで「Yes, it was my way・・・」

というのがある。

これが似ていると言えば似ているが、セリフとは言えない。

ではひょっとしてあれは、マダムのアドリブ?

だったらすごい!!

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ジブシー・キングスのマイ・ウェイならOK

そんなこんなをしているうちに、もう一生分のマイ・ウェイを聴いた気がする。

以前にも書いたが、私は激情型、盛り上げ型のマイ・ウェイが苦手なので、かろうじて今後聴いてもいい、と思えるのは、コーヒーのCMにも使われたジプシー・キングスマイ・ウェイである。

私はもう、それはそれは1980年代から、彼らが鬼平犯科帳のテーマをやったぐらいのときからのジプシー・キングスの大ファンなのだ。

下の動画、映像もストーリーが感じられて面白い。

できればYouTubeさんに削除されずに、せめては一定期間、残ってほしいのだけれど。

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