ジャズピアノの新曲2曲を選ぶ
ジャズピアノではカルチャーセンターの発表会が終わったと思ったら、今度はクリスマスパーティーの準備である。
新曲を2曲用意しないといけない。
なんか忙しいなぁ。
できるんかなぁ。間に合うんかなぁ。
先生から渡されたコード譜は以下の6枚で、このなかから選ぶようにとのこと。
- 「Raincheck」ビリー・ストレイホーン・1936
- 「Our day will come」ルビー&ザ・ロマンティックス・1963年全米1位
- 「Come to me」
- 「When lights are low」1936
- 「Dolphin Dance」ハービー・ハンコック・1966
- 「Along came Betty」ジャズメッセンジャーズ・1959
いや、みごとにどれも知らんわ。
こんなん初見で弾け、と言われたらもう泣きそうになる。
ここで初見で弾く練習をすれば、私もまんざら捨てたものじゃないのだが、とにかくラクをしたい性分なので、まず片っ端からYouTubeで聴いて見ることにした。
すると「Our day will come」は遠い記憶の彼方で聞いたことがある気がした。
ははーー、どうやらカーペンターズのカヴァーがアタマの片隅に残っていたようである。
よし、これで1曲目は決まり。
もう1曲はやはり「A列車でいこう」の作曲者、ビリー・ストレイホーン作の「Raincheck」で、これは押さえておくべき1曲なのかもしれない、と思った。
「レインチェックって雨降り確認?」と聞いて爆笑される
コード譜を改めてよくみると、コード進行も複雑でないし、8分休符がいっぱいはいって、全体に踊っているような感じ。
へぇーこれって、雨が水たまりにぴちゃぴちゃあたっている感じ?
なんか面白いなぁ~~
ひょっとして英語では、雨の降り方を確認したいとき、レインチェックしましょうっていうのかなぁと思いつき、何気なく夫ちゃんに、
「ねぇ、レインチェックって雨降り確認だよね?」
と聞いたら、爆笑された。
「rain check って雨と関係ないってば! 知らなかったの!?」
rain checkはお断りの婉曲表現
確かにネットで raincheck を検索してみると、
rain checkは文字通りには野球などの「雨天順延券」のことですが、主にアメリカ英語のくだけた言い方では、比喩的に「申し出や招待を今回は断るが次回は受けるという約束」という意味で用いられます。ふつう、take a rain checkの形で使われます。 (「ランチ、一緒にどうですか」「残念ですが、今日は無理なんです。またの機会にしてもらえませんか」)
こんな表現、全然知らなかった・・・
追い打ちをかけるように、また夫ちゃんから
「大学は本当に英文科を出たの?」
と聞かれる(今まで何度もこの質問をされた。「日本の大学英文科ではこんなん習わへんのじゃ!と言いたいところだが、同窓の友人たちはみな優秀だから知っているかもしれない、いや知っているだろう)。
ことばは語源を知ると面白い
しかしことばというものは、語源を考えてみたら結構面白い。
Rain check については、もともとは野球など屋外でのスポーツが雨天順延となった場合に、観客に次回に利用できるチケットを渡していたことから広まった表現らしい。
「日本語だってこういうのはいっぱいあるでしょ」
と夫ちゃんは言う。
「クビになったとか、クビを切られたとか。
これって日本語を習いたてのアメリカ人ならきっと、本当に首を斬られたのかと思ってビックリするよね。
確かに、昔は本当に首を斬ったのだろうけど」
ああ、北野武監督「首」のバイオレンスな世界である。
でもよかった。
指摘されたのがまだ夫ちゃんで。
というのはウチのお向かいはアメリカで学位を取られた大学教授夫妻である。
そして最寄りのバス停近くには、金髪のアングロサクソン系男性が日本人の奥さんと住んでいる。
こんな人たちに、
「きょうは雨降るんでしょうか。レインチェックがいりますね」
なんて言おうものなら、目もあてられない。
トミー・フラナガンの「Raincheck」
それでは最後に私の憧れのピアニストの一人、トミー・フラナガンのピアノで「Raincheck」を聴いて見よう。
やっぱり雨音のイメージがするんだけど・・・