クロード・フランソワって誰?
1970年代にフランスで爆発的な人気を博したクロード・フランソワをご存じの日本人はかなりのフレンチ・ポップス通ではないだろうか?
私が子どものころ、日本で流行したフレンチポップスの歌手には、まずシルヴィ・ヴァルタン、フランス・ギャル、そしてミッシェル・ポルナレフと続くが、当時でもクロード・フランソワを知る日本人は非常に少なかったのではないか、と思う。
しかし、布施明さんや尾崎紀世彦さんもカヴァーした「マイ・ウェイ」の元歌を歌った人、と聞けば親近感も沸くかもしれない。その元歌、「Comme d'habitude」については以前、以下のように記事にしたことがある。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
「最後のマイ・ウェイ」はクロード・フランソワの伝記映画
私がクロード・フランソワを知ったのはとても遅く、映画「最後のマイ・ウェイ」(原題:Cloclo)を見てからである。とてもいい映画なので、多くの人に見てもらいたいと思うのだが、アマプラとかネットフリックスなんかではやっていないみたいだ。惜しいなあ。
お気に入りの春の曲「Viens à la maison」
ところで私がこの季節、もっとも聞きたいなぁと思うクロード・フランソワの曲は、「Viens à la maison」である。正式な和訳を見つけられなかったので、ここでは直訳の「家においでよ」とさせていただく。
悲しんで泣いてばかりいる友達に、「ウチにおいでよ、春が歌ってるよ。鳥が待ってるよ。イヤなことなんかみんな忘れてしまうよ」といういい歌である。
フランス語の歌詞を掲載したサイトは複数あると思うのだが、どれもサビのところは以下のようになっている。
Viens à la maison, tous les oiseaux t'attendent.
Près des grands étangs bleus et dans les chemins creux,
On ira tous les deux oublier ce rêve facile.
黒字で書いたところがクセもので、rêve は夢、facile はやさしいだから、直訳すると「やさしい夢」となる。前の文章とつなげると、「ふたりしていこうよ、やさしい夢を忘れて」となるが、なんかわかったようなわからないような、不思議な語句となる。
でも歌詞って意味不明のものが多くないか?日本語の歌でも、「なんのこと?」と思うのは多々ある。だから私は疑問に思いながらも、「これでいいのだ」と思おうとした。
なんだ、ネットの歌詞が間違っていただけ
しかし・・・念のため、私はある日、フランス語ネイティブである夫に聞いてみたのだ。ちなみに最近では夫にフランス語の質問をすることはほとんどない。理由のひとつは、「何年も習っててこんなんもわからないの?」と思われるのが片腹痛いからである。
ところが、こればかりは聞いて正解だった。彼は2,3回該当箇所を巻き戻しして聴いて(ネイティブでもそうなんだ!)、これは「ce rêve facile(ス レーヴ ファシル)ではなくて、sera facile (スラ ファシル)だね」と結論づけたのだ。訳すると、「ふたりして行こうよ、(イヤなことを忘れるのって)簡単でしょ!」となるのだ。
これだとスラっと意味が通るではないか?
「やさしい夢」についてあれこれアタマを巡らせた日々はなんだったのだろう?もっと早くに聞けばよかった。しかし誤った歌詞を複数のサイトが載せているってどういうことなのか? この世はすべてコピペの世界なのだろうか?