アドバイスレッスンを受けるのは私という「大人」
思い立ったらばく進あるのみ、が行動パターンの私は、アドバイスレッスンの先生方のどの先生がよいか考えるより先に、実施教室に電話してみることにした。
まず直近ではどの先生のレッスンが空いているか聞くためである。
でもたぶん、電話に出られる方には
「お子様はおいくつですか?」
とか聞かれるだろうなぁ。
こういうレッスンを受けるの人はたぶん、音大受験を目指している小学生~高校生にちがいないだろうから。
直近で空いているのはドイツ帰りの先生
電話でまず、
「御社のホームページを見させていただいておりますが、アドバイスレッスンに興味がありまして・・・あの、対象は子どもではなくて私なんですけど」
というと、応対の女性が、
「あ、大丈夫ですよ! 先ほどお申込みされたかたも大人の方ですから」
と答えてくれた。
こうなると、急に私の口も滑らかになる。
「じつはですね。
レッスンを受けている先生がお忙しいせいか、なかなかレッスンの時間をとっていただけなくて。
連絡を待っているあいだに、どんどんモチベーションが下がってくるので、せめて単発レッスンでも受けられたら、と思いまして・・・」
そんなことまで相手は聞いていないよね。
いつも余計なことを言ってあとで後悔するのだが。
しかし応対の女性も口が達者な関西人らしく
「個人教室って、融通が利く代わりにきちんとしてないことってありますよね。
その点お教室だとそういうことはありませんから」
と、直近でレッスン枠があいているドイツ帰りの先生を勧められた。
「10:00-10:30 で、空いているのはこの時間帯だけなんですけど。
申し込まれます?」
となると起床時間がふだんより早くなるから、大丈夫かな、と私は0.5秒考えたが、
「申し込みます!」
教室の場所はどこ?
このあと、ちょっといいよどむふうに、
「あのぅ、ざっくりでいいんですけど、年齢はだいたい?」
と聞かれたので、きっぱりと、
「60代です」
別段驚かれる風もなく、氏名、住所、電話番号へと進み、
「場所はわかりますか?」
と聞かれた。
「えーと、たしか昔阪神パークがあったところですよね?」
阪神パークとは、私がティーンエイジャーの頃、同級生とよく遊びにいった遊園地だったが、USJの開業に伴い利用者数が減ったため、2003年に閉鎖となっている。
今は新しいショッピングモールができているが、そこに出店しているのは、問い合わせた音楽教室ではなく、全国展開をしている楽器店兼音楽教室なので、いわばライバル社なのだ。
しかし彼女は慌てる風もなく、
「そっちではなくて、むかし『虎風荘』があったところです」
虎風荘跡地にできた音楽教室
虎風荘とは1994年まで甲子園球場の向かい側にあった阪神タイガース球団寮だが、たぶん彼女は私の年代からして、こういえばすぐわかってもらえることを経験上、学んでいるのだろう。
「あっ そうですか! はい、わかりました」
こうして私は来週早々、ドイツ帰りの若い男性の先生から30分とはいえ、レッスンを受けることになったのだ!
やったぁ。
楽しみだなぁ。
私のなかで、ドイツ帰りの先生は「鴎外先生」と名付けられることになった。
しかしそれもこれも、阪神タイガースが私を甲子園に招いているような気がするのだ。
こんなことでレッスン受講を決めていいのか?
いいことにしよう!