バーナムと毎日真剣に取り組んだ10日間
前回、初めてのバーナムピアニテクニックでのレッスンを受けてから10日間。
毎日、楽譜に書きこんだ先生からの「訓示」をもとに練習に取り組んだ。
例えば5番の「歩こう」という8分音符の連続では、訓示は「音楽的に弾く。左手だけ移調」と書いてある。
ふーん、音楽的ってどういうことやろね、と思いながら自分なりに弾いてみる。
まるでラジオ体操の音楽みたいになったけど。
あと移調を指示されたところでは、五度圏に従って12調でやってみた。
こういうのを1番から12番までやっていると、少なくとも30分-40分はかかってしまう。
幸い、飽きもせずに10日間はあっという間に過ぎ、2回目のレッスンではどうなったか?
すると驚くべきかな、先生は、
「前回と違っていい音になりましたよ。たった10日間しか経っていないのに!」
うわぁ、嬉しいね!
このトシになってもやっぱり、貶されるよりは褒められるほうがずっと嬉しいのだ。
それに
「移調、結構お得意ですね」
とも言われた。
それで、
「以前、ハノンを12調で弾く、というマイキャンペーンをやったことがありまして・・・」
というと、「マイキャンペーン」のどこが可笑しかったのか、先生に大うけした。
考えてみれば、先生は私の子どもくらいの年齢なのだが、ピアノに関しては畏れ多い存在であるため、その方を笑わせたとなると、なんとなく私はドヤ顔になるのだ。
鴎外先生流指くぐり
しかし以前として課題も残った。
前回も言われたのだが、私は左手で下降する際の指くぐりが苦手なのだ。
レガートに弾こうと思い、できるだけ親指を手のひらの下に持っていこうとするのだが、これを続けていると親指のつけ根が痛くなってしまう。
それで思い出したのだが、先月、アドバイスレッスンという単発レッスンで、ドイツ帰りの鴎外先生に、左手指くぐりのコツを質問したのだった。
すると、鴎外先生は
「無理に指をくぐらせなくてよい。打鍵し終わったらすばやく手首の位置を左方向に移動させること。そして手はかならず鍵盤にたいして平行垂直でなければならない」
ということだった。
下手なイラストだがこんな感じ。
そしてレガートに聞こえるようにするにはペダルを使えばいい、とも言っていた。
先生の指くぐりのコツは手が斜め
ところが今の先生の訓示は違うのだ。
親指で打鍵するときからすでにひじで腕を左方向に引っ張るように、手を斜めにする。
指くぐりの際には手首を時計回りにクィッと回転させる感じ。
なるほど、この方法だとペダルを使わなくても、ある程度はレガートに弾ける。
親指も痛くなるところまではいかない。
ただし私の場合、慣れないせいか、ひじや手首の動きがぎごちなく、まだ滑らかにはいかない。
人生いろいろ、指くぐりにもいろいろ
ところでこの弾き方を先生から説明されたあと、
「〇〇先生というドイツで勉強された先生は、違うことをおっしゃいましたよ」
とは言わなかった。
ただ指くぐりという、初歩の初歩でも、いろいろなやり方があるのだろう、と推測したからである。
要するに結果がよければ、自分にあっていればいいのじゃないか?
こういう考え方、アバウトすぎてだめなのかね?
完璧主義者ならもっともっと掘り下げて、先生にも食い下がり、真実を探求するのかもしれない。
残念ながら、私は完璧主義者にはほど遠い。
ただ、鴎外先生は日本の音大ではなくドイツで勉強されたのに対し、私の今の先生は日本➡アメリカで勉強されたので、自分の記憶の整理のため、タイトルには日米 vs ドイツと銘打ってみた。
全然、対立を煽っているわけではないからね。