映画「最強のふたり」とは
2011年のフランス映画「最強のふたり」(原題:Intouchables)は、近年では珍しく、フランスでも日本でも大ヒットした映画である。
Wikiによると、フランスでは、2011年に公開された映画の観客動員数1位、日本では、日本で公開されたフランス映画の観客動員数歴代1位という快挙を成し遂げ、主演のオマール・シーの人気を決定的にしたものといってよい。
実話をもとにしたこの映画のあらすじは、簡単に述べると、
パリに住む大富豪のフィリップはパラグライダーの事故で首から下が動かせない障害者。その気難しさから介護人が長続きせず、新しい介護人を募集していたところ、失業保険の延長だけを目的にした、スラム街出身の黒人青年、ドリスが面接にやってくる。その率直さが気に入ったのか、フィリップはドリスを雇うことを決め、やがてお互いの生まれや育ち、環境、趣味嗜好の違いを超えた絆がふたりに間に生まれる・・・
「最強のふたり」予告編はこちら↓
映画で使われたアース・ウィンド・アンド・ファイアーの曲
この映画では、アフリカ系カメリカ人のポップバンドである、アース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)の曲が効果的に使われている。
まず、映画の冒頭場面では、「September」。
次に、フィリップの誕生日パーティーで、フィリップの好きなクラシック音楽を聴いた後、ドリスが「今度はオレの音楽を聴いてくれ!」と言って踊りだす、「Boogie Wonderland」。
どうして監督はフレンチポップスを使わないのか
私はアース・ウィンド・アンド・ファイアーが大好きだ。現に、自分のPCのiTunesには彼らのベストディスクがはいっていて、定期的に聴いているし、ドリスが踊る場面はYouTubeで何回も見た。
でも、ちょっとひっかかることがある。それは、過去にはフランス映画というと、フランシス・レイやミシェル・ルグランという巨匠が音楽を提供していたのに、「最強のふたり」をはじめ数々のヒットを飛ばしているエリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ両監督はいつもアメリカンポップスを使っていることだ。
「Nos jours heurex」ではマイケル・ジャクソンだし、「セラヴィ」ではボーイズ・タウン・ギャングとかね。音楽に国境はないのは確かだけれど、世界中がアメリカンポップスで埋め尽くされている近年では、私としては、フランス映画には一味違ったフレンチポップスを期待したいのだが。
ダンサブルな音楽ではクロード・フランソワがあるし、ロックっぽいのではジョニー・アリディーもいるけど、そういうのって今のフランスの若者には多分、ダサいということなのか。わかる気もするけどね。なぜなら私も若いころは、昭和歌謡はダサいと思っていたからね。でも今では、そんなに悪くはないと思っているよ。それとも、やっぱりアメリカンポップスでないと、世界的に売れないからなのかなぁ。それだったらちょっと淋しいなぁ。
そういうわけで、誰も難癖をつけない大ヒットフランス映画に、あえて注文をつけてみた。